更新日:2018年11月28日|公開日:2018年7月18日

慣れないうちは、原稿を手元で見ながらスピーチするのは、悪いことではありません。

しかし、「文章を読み上げている印象」になることが多く、お世話になった人たちを前にしたスピーチや、立場ある人のスピーチとしては、物足りない印象になりがちです。

慣れると、原稿がなくても話すことが随分と簡単になります。

そのための一歩としては、原稿を手放すつもりで準備をすること。

ポイントとなる忘れにくい話の構成術と、効果的なトレーニング法をご紹介します。

忘れにくいスピーチの構成術~1つの話でじっくり描く

まず、以下の例をご覧ください。

例1:複数の話題で自己紹介

山田卓也です。福岡県の出身ですので、九州のことなら私に聞いてください。

趣味はジムで汗を流すことと読書です。ジムは週3回ほど通っています。

読書は、とくに司馬遼太郎さんの作品が好きです。(以下、続く)

例1で語られているのは、「出身地」「趣味1(ジム通い)」「趣味2(読書)」

こんな風に色々な話題に触れると、話し手は「次は何を話すんだっけ?」と途中で記憶が飛びやすくなります。

また、1つ1つの話題が深掘りされずに過ぎていくので、聞き手の印象に残りにくい内容です。

自己紹介なら1つのトピック。

結婚披露宴のスピーチなら、1つのエピソード。

それが、スピーチの大部分を占める内容になります。

その前置きとして、挨拶や最低限のプロフィールを語るのは仕方がないのですが、

・いくつかの話題を足した構成にしない

・1つの話を柱にして、じっくり語る

これらのポイントは押さえておきましょう。

例2:1つの話題で自己紹介

山田卓也です。趣味はジムで汗を流すことです。

もともとそんなに運動の習慣がなかったのですが、近くにジムができたので、通い出したら習慣になりました。

週に3回ほど通っていて、いかないとウズウズします。

これだけジムに通っているおかげか、ストレスを溜めにくくなりました。何ごともタフに取り組めるのが私の長所です。今後とも、どうぞよろしくお願いします。

もちろん、長いスピーチになるほど、1つの話でストーリーをじっくり語る力が必要になります。

「何を語ればいいんだろう・・・」とお悩みのときは、以下の記事も参考にしてください。


話を覚えるのに効果的なトレーニング法


アクティブリコールの活用

記憶を引き出す

「アクティブ(積極的に)」+「リコール(思い出す)」

思い出すことに重点をおいた、トレーニング法です。
(各種の勉強にも使えます)

原稿を何度も読み返すのではなく、一度目を通したら、原稿を見ないで話してみましょう。

ちょっとスパルタだな・・と思うかもしれませんが、脳は、情報を検索することで記憶を強化します。
(”Testing effect” Roediger and Karpicke, 2006~)

「この次に話すことは・・・」と記憶をたどる練習をすると、効率よく話を覚えられます。

途中で詰まってもいいんです。

その失敗体験が、また記憶の強化に役立ちます。

それが、アクティブリコールというトレーニング法です。

緊張感が強いと、無意識のうちに原稿を頼ろうとすることがあります。

しかし、むしろ早めに原稿を手放して、自分の「思い出す力」を頼ってみましょう。

それが、原稿なしで話すための第一歩になります。


声に出して練習する

声に出して練習

スピーチの本番まで時間がある場合は、声に出して練習することをお勧めしています。

頭の中では話せそうな気がしていても、声に出すと細部を思い出せないことがあります。

前述した「アクティブリコール」と合わせて、声に出して練習するのがオススメです。

練習する環境を工夫する

一人で練習していると、慣れないうちは本番が不安かもしれません。

人に聞いてもらえる環境で、アクティブリコールを試すと緊張感の中で「思い出す力」を磨くことができます。

もし、一人で練習する場合は、スマートフォンやデジカメなどで撮影すると、練習の張り合いや緊張感が生まれます。

昔、私の知人は、カラオケボックスで練習していました。
窓がある部屋で、そばを通る電車の乗客が見えるような環境でした。

自分が「恥ずかしい」と感じるような場所で、敢えて緊張感をもって練習をしていました。

緊張感が少しでも上がるような環境で練習できるよう、工夫してみてください。


裏技!体験談を暗記しない方法

式典のスピーチのように一言一句に気を付ける必要がなければ、体験談などのエピソード部分は、それほど暗記する必要がありません。

経験した記憶は、語りやすいという特性があります。以下の記事をご参考まで。

ただし、ある程度、人前で話すトレーニングをしていて、即興で語る言葉にも自信がないと、この方法は難しいと感じる方もいるかもしれません。

その他、注意したいポイント

情報量の調整

情報が多すぎると、話を忘れやすくなります。

全体のボリュームはもちろんですが、とくに注意したいのは、一文の中にたくさんの情報を詰め込んでいないか。
例えば、以下の文章をご覧ください。


私の趣味は旅行で、あちこちに行ったことがありますが、最近は短い休みしかとれないので、近場のアジア諸国に行くことが多いです。


これで自然な長さだと感じた人は、要注意。

「。」で区切るまでの一文の中に、「趣味が何か」「あちこちに行った」「最近の具体的な話」といった複数の情報が入っています。

これくらいなら覚えられるかもしれませんが、複数の情報が入った一文がこのあとも続くと、覚えるのが難しくなります。

話し手が覚えにくいスピーチは、聞き手も話を理解するのが大変になりがちです。

一文を整理するなら、以下のようになります。


私の趣味は旅行です。
最近は、短い休みしかとれないので、近場のアジア諸国によく行っています。


こんな風に一文をスッキリと整理すれば、自身が覚えやすく、相手が聞きやすい話になります。

とくに、文章で書くと、「あれも付け足そう」「これも付け足そう」と情報過多になりがちです。なるべくシンプルに、原稿を準備しましょう。


結論は、とくに意識して覚える

「結論」は話の着地点です。

着地点を忘れてしまうと、途中で筋がずれてしまったときに、元に戻せなくなります。

また、結論を忘れると、ダラダラとした話になりがちです。

つい結論にいたるまでの体験談を覚えようとしがちですが、結論こそしっかりと覚えておけば、多少は迷っても最後まで話し切ることができます。

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この記事について

【執筆者】古垣博康
【略歴】株式会社ワクリ代表。NHKの番組制作や番組サイト運営に携わりながら、NPOの話し方教室で講師を5年間担当。
現在は話し方のプロアドバイザーとして、話し方のお悩みに役立つレッスンを開催しています。
産業カウンセラー、認知行動心理士。家族は妻と子、猫2匹。
うちの猫
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