更新日:2023年11月16日|公開日:2016年8月31日
こんなお悩みはありますか?
間を入れられず、早口で話をしてしまう
間を入れようにも、話の途中でコントロールがしづらい
間を使うと、妙な雰囲気になりそうで怖い

お悩みをおおまかに分けると、「早口で間を使うことが苦手な人」と、「間を使うことが怖い人(話の雰囲気が変になりそうと感じる人)」がいらっしゃいます。
ただ、「間」は使い方次第で、効果的に伝えるために役立ちます。今回のコラムでは、苦手感をなくし、間を使えるようになるポイントをご紹介します。

間を意識して話せていますか?

話すことは、伝えれば良いわけではなく、相手に理解され、印象に残してこそ話す成果があることも多いのです。

そのために役立つのが「間」ですが、どのような影響力があるのか、ご紹介します。

聞く人への影響

・間があることで、話について考え、理解する時間が生まれる。
・間によって、変化を感じて飽きない。
・ところどころの間が頭の小休止になり、聞き疲れが減る。

話す人への影響

・心を一杯一杯にせずに、余裕をもたせながら話しやすい。
・聞き手の反応を見ながら話を進められる
(説明が足りない部分に気づき、フォローしやすくなる)

なぜ、間を使うことが怖いのか

ときどき「間を使うと、場が妙な空気になる」と聞きます。

それは、聞く人が「間を使う意図」が分からず、「この話し手は、どうして沈黙しているのだろう?」と感じるからです。

ちなみに、日常会話では、自然なタイミングで間を入れているはずです。

ただ、人前で話す際は、「原稿を再現する」ことに意識が向かい、自然な語り口調が失われがちです。

だから、自然な口調にするのも一案ですが、意識的に間を入れることが、効果的に話を伝えるために役立ちます。

次の項目で、どのようなタイミングで間を使うと効果的なのか、記載しています。

間の使い方 具体例

話に変化をもたらすため、ところどころ文節に短い間を挟む

例)そこで・・・私はどうしても気になってしまったので・・・相手に聞いてしまいました。

聞く人が考える時間をつくるため、文末に入れる

例)みなさんはシーカヤックって知っていますか?

聞く人に集中力を高めてもらうため、重要なキーワードの前に入れる

例)今期の目標は・・・〇〇です。

間を取りづらくなる原因

ここでは、3つの原因をご紹介します。

頭の中の原稿を、一度に話そうとする

原稿を丸暗記してしまうと、「どんどん話さないと忘れそう」という気持ちがどこかにあって、間を使いづらくなります。
また、せっかちな人に多いのですが、「タスク完了」を目指していることがあります。
とにかく、頭の中に浮かんだことは、早く言い切らないと気が済まない。
伝わるかどうかではなく、最後までとにかく伝えきろうとする。そういった心の動きです。

対策としては、マインドフルネスには「今、ここ」という言葉があります。一瞬一瞬の行動に意識を傾けてみる
そうした心構えも、お勧めです。

間を取りづらい文の組み方になっている

例えば、「一文が長い」など、文の組み方も影響しやすいです。一文が長いと、一息に話そうとする意識に繋がることがあります。
そもそも、話すために最適化された原稿になっているか。その点の見直しもお勧めです。

当会では、文の組み方についてもアドバイスを行っています。

高ぶりやすく、自動的に早口になる

緊張しやすい人に多いのですが、はやる気持ちをコントロールしづらいことがあります。

心理学の世界には、「速い思考(直感的)」「遅い思考(理性的)」という考え方があります。

速い思考(システム1) 遅い思考(システム2)
直感的熟考的
速い遅い
進化的には古いシステム進化的には新しいシステム
無意識的意識的
自動的制御的

参考:Dual-process theories of higher cognition(Evans & Stanovich, 2013)

このうち、速い思考に偏ると、直感的、反応的な行動に傾きがちです。
その場合、動画で撮影し、理性的に振り返りながら、トレーニングすることがお勧めです。

まとめ

間には、話を印象づけたり、話す人自身の心の余裕を保ちやすくする効果があります。
適切なタイミングで入れると、違和感がなく、効果的な間になります。
【適切なタイミング】
・聞く人が考える間
・話に変化をもたらす間
・聞く人に集中力を高めてもらう間

間を使えない場合、話の組み方などの技術面や、焦りやすい心なども点検したほうがよいことがあります。

間を使えることで、話し方がさらに上達します。
当会では、間を使う技術も含めて、話し方の適切なトレーニングをご用意しています。

参考文献

ダニエル・カーネマン(2012)ファスト&スロー(上).村上章子(訳)早川書房:東京.

Evans, J. St. B. T., & Stanovich, K. E. (2013). Dual-process theories of higher cognition: Advancing the debate. Perspectives on Psychological Sciences, 8, 223-241.

Stanovich, K. E., & West, R. F. (1998). Individual differences in rational thought. Journal of Experimental Psychology: General, 127, 161-188.

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執筆者

【執筆者】古垣博康
【プロフィール】株式会社ワクリ代表。NHK(総合、Eテレ)の番組制作や番組サイト編集に携わりながら、話し方団体で講師を務める。現在は話し方講師、スピーチライター、認知行動療法&産業カウンセラー。
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