公開日: 2023年5月27日

仕事も学びも、打ち込んだ人は、その世界に順応することがあります。

その世界の勘所が分かり、専門的な言葉や文脈に沿って話すこともできます。

ただ、それゆえに、専門外の人に向けた話をする際に、翻訳する難しさも。

例えば、一般の人に向けて発信するときや、他分野の人たちと協働が必要なときに、専門的な言葉や文脈をいかに分かりやすく、人に伝えられるか。

自分が何かに順応したあとだからこそ、「より多くの人に話せるよう、言葉を磨き直す機会」も、また巡ってくることがあります。

私自身も、番組の仕事で「最初の壁」は、似たような点でした。

取材するほどに、その分野に精通できる。

ただ、それを一般の人に向けて、どう伝えると納得感があるのか

何度か壁にぶつかりながら、伝え方を考え直してきました。

講座でもそのスキルはご紹介していますが、そのポイントを次項で少しご紹介します。

言葉をわかりやすく置き換える

そもそも専門的な分野では、土台となる知識の上に、応用的な手法や概念が成立します。

「声を上手に出す方法」を例を出すなら、土台として、

  • 「呼吸法」
  • 「声帯の使い方」
  • 「口腔や舌の上手な使い方」

など、様々な知識の上に、応用が存在するわけです。

専門的な情報を伝えるには、その土台部分の一つ一つを、自分の言葉に置き換えながら、まずは体系立てること。

「呼吸法」なら、腹式呼吸とは胸式呼吸とは別の方法であること。お腹が出るくらい、「横隔膜」という膜が下がって脂肪を押し出すからお腹が膨らむ。
そのためには、呼吸を肺の奥深くまで吸いこむ。また、息を、しっかり吐くだけでなく、息を吐く量をコントロールする役割もあるんだよな、とか。

言葉や文脈を、自分なりの言い回しにまずは置き換える

そうやって、土台部分を、自分の言葉で表現できる準備をします。すると、応用部分も、分かりやすく伝えやすい状態になります。

さらには、聞く人に合わせた伝え方に配慮するケースも多いです。

人前で話す言葉は、一瞬で理解されないと、聞き漏らされてしまいます。

聞く人の理解度に応じて、どのような伝え方なら、一瞬で理解されるか

言葉選びや、具体例などを、どのように受け取ってもらえるか、様々に検証しながら話を作ります。

一見、面倒なことですが、こうしたことをするうちに、相手の理解を助ける話し方ができるようになります。

当会でも、こうしたスキルを磨ける講座があります。
興味がある方は、より多くの人に分かりやすく情報を伝える方法を、学んでみてください。

執筆者

【執筆者】古垣博康
【プロフィール】株式会社ワクリ代表。NHK(総合、Eテレ)の番組制作や番組サイト編集に携わりながら、話し方団体で講師を務める。現在は話し方講師、スピーチライター、認知行動療法&産業カウンセラー。
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