「人前で緊張してしまう」「大勢から見られることがイヤ」など、あがりにまつわるお悩みは多くの人が抱えています。ここでは、あがり症について情報のまとめと、克服する方法をご紹介しています。
[目次] |
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1「あがり症」とは |
2 あがり症の原因~3分類で考える~ |
3 あがり症を克服する4つの方法 |
「あがり症」とは
「あがり症」という呼び方は病名ではなく、人前などで緊張しやすい性質を表すものです。
こんな症状はありますか? |
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「スピーチが控えていると不安でしょうがない」 「会議などで注目されるのが苦手」 「雑談するときに、緊張する」 「緊張で声が震え、普段どおりに話せない」 |
人は恐怖に直面すると、交感神経を働かせて体を覚醒(興奮)させ、闘うか逃げるかの準備をします。生理学者のウォルター・B・キャノンはこれを「闘争-逃走反応」と名づけました。
体の覚醒によって、心臓の鼓動が早くなることや、震えが生じることがあります。こうした状態が心理的な不安をいっそう後押しすることもあります。
例えば「大勢の前で話す場面」に恐怖を感じて覚醒が過剰になると、ドキドキ感やふるえを感じ出して「あがってる!」と自分でも気づきます。
何度かこういう経験を繰り返すと、「あがり症」という自覚が生まれます。
あがり症の原因~3分類で考える~
あがり症につながる要因は様々なものが考えられますが、ここでは3つに分類してご紹介します。
1. 体質・気質
体質・気質の敏感さをもともと持っているケースがあります。
心理学者のジェローム・ケーガンは、乳児がどのように育つのか思春期までを追跡調査し、新しい刺激に高反応を示した乳児は内向的になりやすく、低反応だった乳児は外交的な性格になりやすいとの結論を出しました。
もともと敏感な反応を示すタイプは、冒険に挑むよりは、慎重派になる傾向があるというわけです。
また、心理学者のエレイン・N・アーロンは、非常に敏感なタイプ「HSP(Highly Sensitive Person)」についての研究をしています。
非常に敏感なため「他人に観察されたり、評価されたりするのが苦手」「周囲の雰囲気によって、動揺しやすい」などの傾向を持つタイプです。
こうした個性から、話す場面に苦手意識をもつ人もいると考えられます。
ただし、もともとこうした体質をもっていても、あがり症を自覚しない人はいます。環境やご本人の経験など、さまざまな要素が重なって、あがり症に繋がると考えられます。
2. 考え方(不安・不安を生み出す考え方)
現代では、猛獣に襲われるなどの現実的な危険よりも、人間同士の関わりの中で「期待にこたえられないかもしれない」「自分のみっともない姿をさらすのでは」など、想像上の危険が溢れています(まだそうしたことが起きていないのに、想像して恐怖に陥ります)。
人の体(交感神経などの働き)は、現実の危険と想像上の危険を区別できません。
そのため、頭で想像した不安であっても「闘争-逃走反応」(つまり緊張感)に繋がります。
なぜ、このような不安を人は抱くのでしょうか。もともと、話すことへの苦手意識もあるかもしれません。
また、人によっては不安に結びつきやすい、考え方のクセが強いことがあります。
人によっては、その点を考慮してみてもよいでしょう。
「認知行動療法」などのカウンセリングで扱われるのは、まさにこうした考え方のクセです。
その例をご紹介します。
さらにその奥には、以下のような考え方のクセがあることもあります。
3. 話し方
人間は、自信のないものを、他人に見せたくありません。例えば「話す内容に自信がない」「言葉づかいに自信がない」「発声に自信がない」などの不安がありながら人前で話すときは、どこか引け目を感じてしまう自分がいるのではないでしょうか。話を聞いて欲しくない、早く立ち去りたい。そんな引け目から、心身の緊張感を高めてしまうことがあります。
あがり症を克服する4つの方法
1. 緊張感に対するイメージを変える
例えば、家でだらだらと過ごすより、職場で緊張感をもって仕事しているときの方が、能力を発揮している実感がないでしょうか。
心理学者のロバート・ヤーキーズとJ.D.ドットソンは、体の覚醒(生理的覚醒)が中程度のときに、もっともパフォーマンスを発揮できるとする法則(ヤーキーズドットソンの法則)を発表しました。緊張感による体の覚醒についても、全く無い状態よりは、ある程度あることが望ましいと考えられます。
ただし、「考え方からくる不安(認知的不安)」が大きい時は、緊張で覚醒が高まるうちにパフォーマンスの調子を崩し、しばらく復調できないとする研究があります(不安のカタストロフィモデル)。
事前にしっかりと準備や練習をして自信をもっておくことが、こうした不安に打ち勝ち、緊張感とうまく付き合うための秘訣です。後述する「3. 考え方による不安をほぐす」も参考にしてください。
2. 呼吸法で副交感神経を優位にする
「緊張しすぎているな」と感じたとき、役立つのが呼吸法です。
細く長く息を吐くことで、体の興奮を鎮める副交感神経が働きやすくなります。胸が動くような浅い呼吸は、胸式呼吸です。おなかが動くほど深く息を吐いたり、吸ったりするのが腹式呼吸です。とくに息を細く長く吐くことを意識して、やってみましょう。
緊張感を和らげるため、話す前の呼吸法を習慣にしましょう。(呼吸法は、教室でもときどき指導しています)
3. 考え方による不安をほぐす
例えば、理想的な自分とダメな自分など、両極端な見方になっていないでしょうか。
以前、教室に来ていた方が「教室に来ただけでも60点、人前に立てて話せたから80点」とご自身について言われていました。あまり完璧主義にならず、「今日は準備をしっかりできた」「声が以前より出た」など、100点とはいかないまでも、グレーゾーンにいるご自身の良い点をみつけてみましょう。
他人と比較して落ちこみやすい人も、自分ができたことを認めつつ自分基準の自信を手に入れていきましょう。
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4. 話し方を身につける
話すときに緊張しやすい人の中には、気が移りやすいタイプの人が居ます。
そうした人は、1つの話の中に色々な話題を盛り込んでしまい、覚えることも困難な話をつくって、自分自身で難易度を上げています。
情報整理の腕を上げて、1つのことを軸に話せるようになると、覚えることが楽になったり、話が途中で飛びにくくなったりします。
そもそも構成法や言葉のつかい方を学んでいくと、次第に「話す楽しみ」を感じる人が多いものです。すると、緊張はしつつも、話すことに前向きに取り組むことができるようになります。
また、「どのような話が適切なのか」という、話の相場観を身につけることも大切です。
話し方教室のグループ学習では、いろいろな話とそれに対するアドバイスを数多く聞けます。職場などで、そうした指導を受けられることもあるかもしれません。
責任のあるスピーチを任されたときも、構成力や話の相場観を持っていれば、不安がやわらぎます。適切な手法を知らず、慣れていないから不安が大きくなります。
ぜひ、訓練で社会に通用する話し方を身につけてみてください。
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