更新日:2022年6月16日|公開日:2018年10月4日

緊張感の根底にあるものは?

あがり症の対策としては、まずは、適切な情報量で内容を準備すること。

このブログでよく紹介しているように、まずは情報整理ができていると、脳の負担を減らして、本番でも話しやすくなります。

しかし、考え方のクセが強いと、それだけではあがりが改善しにくいことも。

例えば、普段から以下のような考え方、感じ方をしていないでしょうか。

【考え方のクセ】

・何かと心配し過ぎてしまう

・他人を尊敬しすぎることがある

・つい優劣を感じてしまう

・愚痴をよく言う(or 他人の言動が気になる)

・他責感情(誰かを責めてしまう or 期待する気持ち)が強い

全部ではなくても、いくつかは当てはまるかもしれません。

こうした考え方は、「他者の言動」「周囲の出来事」で、心が揺れ動きやすいタイプによく見られます。

自分以外のことで心が揺らぎやすい在り方を、私のカウンセリングでは「他人軸」と呼んでいます。

他人軸に偏っている場合、

  • ・自分を評価する人が目の前にいる
    (他人軸の人にとっては、より影響を受けやすい状況)
  • ・周囲の人の競争意識が強い
    (ただし、自分の優位が分かったら極端に落ち着く)

こうした場面で緊張が激しくなることがあります。

なぜ他人軸になるのか

他人軸になるのは、生育環境において、ありのままの自分ではいられなかったことが大きな要因だと考えられます。

背伸びしなくてはいけない環境、あるいは何かと過保護で自分の我を奪われた状況。それらが、影響している可能性があります。

ただし、あなたは他人軸のおかげで、周囲に向けて何かと配慮ができる人かもしれません。

だから、「準備する段階」では、他人軸を共感力として使えば、人に寄り添ったアイデアを生み出すのに、役立つこともあります。

しかし「自分の意見を発信する段階」になっても、他人軸の在り方を変えられずに周りのことがどうしても気になる。

だから、緊張してしまう。(=警戒、意識してしまう)

他人軸のポジションを変えない限り、あがってしまう性質は根本から変わりません。

他人軸と自分軸を行き来する

他人軸の対極になるのは「自分軸」です。

困難な環境においても、物事に取り組む方法やモチベーションを自分で作れること。
他人を責めるのではなく、自分にできることを考えようとすること。

そうしたものが自分軸の心のあり方です。
身近なことからでいいのです。

例えば、仕事で問題が起きたときに、自分にできることはないかを考えてみる。

家庭やプライベートで悩みがあるとき、周囲のせいにするばかりでなく、自分にもできることを考える。

面倒な家事を、楽しくやる方法を考えてみる。

そんな風にストレスのある状況で、自分にできることを考えて行動することが、自分軸をつくります。

ただ、完全に他人軸を消し去るのではなく、どこかに持っておいてよいでしょう。

自分軸だけに基づいて、人の気持ちに配慮しない振る舞いになると、周囲と人間関係を築くのが困難になりがちです。

「他人軸」と「自分軸」を必要に応じて行き来できると、適応できることの範囲が広がります。

自分軸で行動するときの注意点

「自分軸に基づいて行動する」とは、悩みを抱え込むことではありません。

悩みを抱え込むことの奥には、自分の未熟さを感じるゆえに、「私はがんばらないといけない、努力しないといけない」そんな思いが隠れていることがあります。

それは、自分の欠落感からくるものであり、他者と並ぶために努力をするという、結局は他人軸であることが見え隠れしています。

邪魔なプライドは消して、他人に教えてもらったり、協力してもらったりすること。

そうした対策に専念することこそが、成熟した「自分軸」の在り方です。

また、自分軸とは、自分の考えのみを信じて「傲慢」になることとも違います。

傲慢になるのは、他人との比較で自分を「上」と感じ、安心したい気持ちがあるからです。

他人より上や下という感覚ではなく、フラットに人と関わる意識を持つことが、自分軸であるためには必要です。

まとめ

  • ・困難があっても、環境のせいにせずに、柔軟に対策を考えられること
  • ・優劣をつけずに、フラットに人と関わる意識をもつこと

これが実践的な「自分軸」であり、あがり症と根本から向き合うために役立ちます。日常のさまざまなことの自信にも繋がるでしょう。

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執筆者

【執筆者】古垣博康
【プロフィール】株式会社ワクリ代表。NHK(総合、Eテレ)の番組制作や番組サイト編集に携わりながら、話し方団体で講師を務める。現在は話し方講師、スピーチライター、認知行動療法&産業カウンセラー。
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