報告の基本的なスキルとしては、事実を個人的な意見とは区別して、伝える必要があります。
そうしないと相手が客観的な事実を把握できず、不安を感じるからです。
しかし、仕事の経験を積んでいくと事実の報告だけでは済まず、「事実+メッセージ」の発信が必要なことがあります。
メッセージとは、事実を踏まえて「何を言いたいのか」ということです。
例)プロジェクトの広報 |
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プロジェクトの解説(事実) + 社会的な意義(メッセージ) |
例)市場調査と提案 |
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分析・調査結果(事実) + 提案(メッセージ) |
事実を踏まえたメッセージを語れることで、その道のプロとしての信頼感に繋がることがあります。
スピーチも「事実+メッセージ」が基礎になります。
例)スピーチの構造 |
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具体例(事実) + 結局、何を伝えたいのか(メッセージ) |
スピーチを学ぶことで、事実+メッセージの伝え方に慣れることもできます。
かつて、印象的な「事実+メッセージ」を聞いたことがあります。
早朝のテレビ局に着いたときのこと。
清掃スタッフの方が、朝6時ごろに仕事を終えていました。
挨拶をしたあとに私が「お早いですね」と言うと、その方は、
「私たちの仕事は、皆さんが来る前に準備を終えて『スタンバイ』することなんです」
と、さらりと話をされました。
「スタンバイ」とは、収録本番に向けて出演者やスタッフが「準備を済ませる」こと。
モノを知らない私に、「清掃」という仕事の本質を教えて頂いたのだと思います。
こうした言葉にも、「事実+メッセージ」が入っています。
【清掃は、働く人が来る前に準備を終えること(事実)】
+
【それは、皆さんのための『スタンバイ』だと私は捉えている(メッセ―ジ)】
「事実+メッセージ」は、事実を述べることで客観性を保ちつつ、自分らしいメッセージを伝えるスキルです。
メッセージを生み出すには
スピーチは、事実を例にしながらメッセージを語るので、「事実+メッセージ」の発信を学ぶのに適しています。
会議での発言やプレゼンテーションにおける提案など、さまざまなメッセージ性のある話をするための基礎ができます。
そもそも、「人に披露できるだけのアイデアや思考が無くてはいけない」と感じる方もいますが、それは違います。
話し方を指導してきた経験からお伝えすると、発信の練習を先に始めることが大事です。
仕事への考え方などをたやすく言葉にできる人は、早くから想いを言葉にする訓練を積んでいます。
アウトプットする機会があったからこそ、想いをカタチにしようと努力します。
最初は恥をかいてもいいんです。(誰でも通る道です)
拙くても、言葉で自分のメッセージを語り始めてみましょう。
もちろん、何歳から学んでも遅くはありません。
私の師匠は、60歳から話し方を始めた人で、それまでは主婦業をされていました。
ビジネスともそれほど縁がなかった方ですが、60歳から学んで、東京や名古屋で活躍される講師になった人でした。
私自身、その方からたくさんのメッセージを頂きました。
真剣に学ぶと、伝えるべきメッセージを言葉で表現できるスキルが身につきます。
ぜひ、「事実+メッセージ」を語り始めてみましょう。
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