話し方の世界では、よく『数字を出した方』が良い、と言われます。
あいまいな印象を避け、使い方によっては話の影響力を増すことができるからです。
その「効果」と、意外な「落とし穴」について今回は考えます。
メリット-数字の「具体性」がもたらす効果
ここでは3つの効果や、使い方をご紹介します。
情報のまとまりを伝えられる
例えば面接の場で、「御社を志望した理由は2つです」と最初に語ると、面接官はトピックが2つあるんだな、と話を聞く心構えができます。
「情報のまとまり」がいくつあるかを数字で伝えると、聞き手の頭に設計図のようなものができて、話を聞きやすくなります。
アピールが具体的に伝わる
「この映画で、たくさんの聴衆が泣いた」を、「この映画で、100万人が泣いた」と表現するとどうでしょう。
より、反響の凄さが伝わってきます。
「ビジネスの実績」を表現する際など、数字はよく活用されています。
正確な情報伝達に役立つ
データなどを数字で伝えることで、相手は想像力に影響されず、正確に物事を把握できます。
デメリット-話の中で「数字を乱発」すると問題に
数字を盛り込むことで、聴衆が困ることがあります。
例えば、「スピーチ」で、やたらと数字を盛り込んでしまうケース。
以下の文例をご覧ください。
文例 |
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高尾山は新宿から特急で1時間程度でアクセスできて、標高599m、山麓から1時間40分ほどで登れます。 |
耳で聞く「話」では、情報を一時的に記憶しながら、理解します。
数字をたくさん出すと、話を覚えるのが大変になって、聞き手の集中力が落ちることがあります。
聞き手の負担を計算しない話し方は、NGです。
この文例で言えば、「標高」は登山好きなら知りたいかもしれませんが・・・。
一般の人に聞かせるなら、さほど大事な数字ではありません。
むしろ、「アクセスする時間」と「何分で登れるか」。
その辺りが、興味のある数字ではないでしょうか。
アレンジすると以下のようになります。
アレンジ例 |
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高尾山は新宿から特急で1時間程度でアクセスできて、山麓から1時間40分ほどで登れる高さです。 |
とくにスピーチのように、様々な背景を持つ人が聞くような場所では、数字の具体性をどれほど話に盛り込むか、調整が必要です。
また、営業職の人が、一対一でサービスを説明する際も同様です。
数字を乱発しすぎて、聞き手を疲れさせる営業マンをたまにお見かけします。
数字を盛り込むことは、素敵な工夫なのですが、話全体を通してみたら、聞き手を疲れさせる情報量になっていないか。その点をチェックしてみましょう。
数字を語りやすいシチュエーションとは
数字をたくさん盛り込んで話すことが、比較的許される場があります。
例えば、説明会やプレゼンなど、「聞き手がメモをとれる」「数字が書かれた資料が手元にある」状況なら、スピーチとは異なって、聞き手が「話を覚える」必要性が薄れます。
そんなときは、数字をたくさん出しても、聞き手の集中力は落ちにくいでしょう。
もちろん、本当に話す必要性のある数字なのか。
その数字に聞き手がどれほど興味をもつのか。
よく考えておきましょう。
余計な数字は、話のノイズになります。
まとめ
・「数字」を使うことで、話に具体性が加味され、影響力が変わる
・数字を盛り込み過ぎると、聞き手の負荷が増すので注意
(聞き手が話を覚える状況か否か、関心の度合いはどれほどかを考える)
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