閉鎖的な環境では、必ずしもご本人の問題ではなくとも、孤立の問題が起きることがあります。
だから、ご本人にとって安心できる環境かどうかは、何より重要なポイントです。
ただ、ご本人の「居場所が見つかりそうな環境」でも、人間関係をうまく築けずに、学校や企業に所属しづらくなる方も、いらっしゃいます。
当会にもご相談やトレーニングにお越しになりますが、お悩みの傾向としては、次のようなものです。
特定の人としか話せず、社交場面がニガテである。
しかし所属する場で、様々な人とそれなりに付き合って共に時間を過ごす必要性がある。
(ときには、協力を得たり、情報を共有してもらったりが必要なことも)
この場合、実は意外な性質がコミュニケーションの邪魔をすることがあります。
それが、「無駄を嫌う」など、合理的なことを求めすぎてしまう性質です。
そもそも他人とは、信頼関係をつくる中で、仲良くなったり、進んで協力してくれたりします。
だけど、社交場面がニガテで、無駄を嫌う人は、付き合いが限定されがち。また、様々な人と地道な関係づくりをしないので、情報や協力を求めづらくなる状況が、しばしばあるようです。
その場合、以下の点を認識できているかは、重要です。
例えば、普段は付き合いの無い人から急に「宿題で聞きたいことがある」あるいは「仕事を手伝って欲しい」など頼まれると、ご自分はどう思うでしょうか。
相手の要求の大きさを測りかねて、自分に不利益が生じるのではないかと、警戒することが多いと思うのです。
信頼感があれば、「この人は、自分を害することが無いだろう」と安心して、関わりやすい。
しかし、無駄を嫌い、社交的ではない人は、「多くの人とそれなりに付き合い、関係を構築する」ことが苦手。
そのため、学校や会社で、協力を得づらくて居心地が悪くなるケースもあるようです。
対策としては、以降でご紹介するような「関係づくりのスキル」を磨くことが一助となるかもしれません。
信頼関係をつくるための雑談
相手が普段、何を考えているのか。自分にどのような姿勢で向き合う人か。
こうした事情がわかるのが、「雑談」なのです。
また、そもそも会話をすることは、「あなたの存在を認識しているよ」と、他人の存在を認める行為にもなりえます。
では、様々な人と雑談をするために必要なことは、何か。
それは、幅広い会話の話題に慣れること。
狭い範囲で人付き合いをしていると、趣味が似ているケースが多いものです。
できれば、様々な人と共通点を見出しながら、自分が関わる世界を広げていく。こうした付き合い方が、必要になることがあります。
なお、一方的に話したり、黙って聞くだけでなく、相手の感じたことをうまく聞き出し、共有する。そうした技術が有効です。
何が楽しいのか、何が喜びなのかをしっかり聞き出して、共有するのが聞き方の技術の一つです。
ぜひ、積極的に雑談の話す、聞く技術を磨いて、他人との信頼を深めて頂けたらと思います。