ビジネスにおいて、スピード感や効率が大切な場面は多いものです。
ある程度の焦りは興奮材料となって、自分のパフォーマンスを高めると考えられます。
でも、湧き出るように焦りが生じて、自分でコントロールできないときは、注意が必要です。例えば・・・
・話すときの早口を改善できない
・話すときに混乱してくると、焦って頭が真っ白になる
・試験中に焦って、思考が十分に働かない
こうした感覚はないでしょうか。
焦ったときなどに抱く切迫感やイライラ、不安などは、脳の中枢にある「扁桃体」が興奮し、交感神経などが活性化した状態です。
体は「さぁ行動しよう!」とスタンバイをしています。
だけど同時にストレスホルモンなどが体に分泌され、各器官に影響を及ぼします。
その中で、思考や感情制御を担う脳の働きは低下します。
だから、体は活性化しているのに、本来の考える力は発揮できない。感情のコントール力も低下してしまう。
話や学びのパフォーマンスが低下するのは、こうした事情があります。
認知行動療法では、自分を理性的に振り返ることによって、
扁桃体の興奮をコントロールして、脳の働きを取り戻しやすくします。
心の奥底にこんな考え方はないでしょうか。
・「~すべき」という厳しさが激しい
・自分は不器用だから、頑張らないといけない
・焦って努力しないと見捨てられる
こんな風に、焦ることの奥底に、自分を縛っている何らかの思考癖があるかもしれません。
思考癖に気付けると、そうしたものから距離を取りやすくなります。
距離を取れれば、ゆっくりとした変化ですが、焦りなどの感情に巻き込まれにくくなります。
また、可能であれば、日常生活の焦りを感じる場面で、自分がどんなことを思っているかを見つめて、「反証」を試みてみましょう。
焦っているときの思考 | 反証 |
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もう時間がない! | 時間がないのは事実か。心配症で時間に余裕を持たせたいだけではないか。 |
1分でも早く出発しよう! | 出発までの時間を有効活用して、何かできることがあるのではないか。 |
やばい、難しくて理解できない・・・ | どこかに理解の糸口となる部分があるはずだから、腰を据えて考えよう。 |
先のことを意識して気を急かされたり、不安になったりするより、「今、この瞬間」に理性を働かせる余地が、まだあるのではないか。
カウンセリングの世界では「今、ここ」とも表現しますが、「今この瞬間」に意識を向けることは非常に大切です。
土壇場でも焦りに負けず、理性を発揮するトレーニングになります。
話の練習をしていて焦りを感じたら「今、ここ」に意識を向けることも、お試しください。
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【執筆者】古垣博康
【プロフィール】株式会社ワクリ代表。NHK(総合、Eテレ)の番組制作や番組サイト編集に携わりながら、話し方団体で講師を務める。現在は話し方講師、スピーチライター、認知行動療法&産業カウンセラー。
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