更新日:2019年10月8日|公開日:2016年8月3日

「スピーチ」「説明」「司会」「プレゼン」「講義」「講演」など、いずれも原稿を用意するとある問題が・・・。

言葉が、知らず知らず「書き言葉」に、置き換わっていることがあります。

今回は、書き言葉を使うことのデメリットや、話し言葉を使うメリットを、いくつかご紹介します。

やわらかい語り方

以下の表現を比べてみましょう。

A 書き言葉の表現
昨日、デパートの食品売り場に行った。そこで以前から探していた限定品のお菓子が見つかり、思わず購入した。
B 話し言葉の表現
昨日、デパートの食品売り場に行ったんです。すると以前から欲しかった限定品のお菓子が見つかって、思わず購入しました。

Bの話し言葉は、会話調のやわらかさのある表現です。

Aのような硬い表現だと、本の朗読か、自分の世界に入り込んだような印象になります。

人前で話すときは、やわらかい話し言葉が基本です。

ただし、式典や説明会など、公の場になるほど、どれほど会話調に崩すかは検討が必要です。

一文に情報を詰め込まない

重要なスピーチを任されたときなど、原稿をしっかり準備したために、かえって棒読みになることがあります。

そうなる前に考えておきたいのは、言葉に含まれる情報量。
以下のA、Bの書き方を比べてみてください。

A 一文の情報量が多い
昨日、デパートの食品売り場に行くと、以前から探していた限定品のお菓子があったので、ラッキーと思って購入しました。
B 一文の情報量を調整
昨日のことですが、デパートの食品売り場に立ち寄ると、以前から探していた限定品のお菓子があったんです。
ラッキー!と感じた私は、つい買ってしまいました。

人前で話す際は、Bの書き方を目指したいところです。
ポイントは、一文( 。で区切るまでの範囲)に、色々な情報を詰め込まないこと。

Aの書き方も不自然ではありませんが、実際に話すと棒読みになりやすいです。
(AとBを読み比べてみると分かります)

目で読む「書き言葉」は、一文に含まれる情報が多くても、読み直すなどして理解できます。
しかし、耳で聞く「話し言葉」は情報が多いと、聴衆が途中で理解できなくなります。

ちなみに、話の筋を忘れてしまう人の中には、一文の中に色々な情報がある語りをしていることがあります。
複雑な情報をひと息で伝えようとして、話す最中で混乱したり、次を思い出す余力を失ったりするのです。

話に適した、言葉のつかい方

話すときに気をつけたいのは、聞く人にとって分かりやすい言葉を使うこと。

とくに大勢の前で話すときは、注意が必要です。

聴衆の年齢層や知識が多様なため、話し手が通じると思った言葉があまり理解されずに、聴衆を困らせていることが多々あります。
まず基本として、分かりにくい言葉に注意しましょう。

話すと分かりにくい言葉

・漢字の熟語
「漢字の熟語」は本などで読むときは理解しやすくても、耳から音声として入ってくると意味をすぐに理解できないことがあります。簡単な親しみやすい表現に変えたほうが、話の内容や話し手の感情が、聴衆によく伝わることがあります。

修正例)「逡巡」→「ためらった」

・略称
普段から大勢の前で話すときは、略称は使わない方が無難です。「これくらい大丈夫だろう」と思っていると、公の場や大切な場所で、つい無意識に使ってしまいます。
その略称を知っている人たちには伝わりますが、世代が違う人には伝わりにくかったり、略称を使うこと自体が軽率な印象を与えることがあります。

修正例)「スマホ」→「スマートフォン」「携帯電話」

・専門的な言葉
知識がないと理解できない用語は使わずに、聴衆に合わせて分かりやすい表現に変えましょう。正確な定義を突き詰めるよりも、自分が表現したいことが聴衆に伝わるかが大切です。
修正例)「モラトリアム」→「自分さがし」

書くときとは、意識を変えて挑む

ご紹介してきたように、「話す」ことは、「書く」こととは、少し違った伝え方があります。

さまざまな聴衆が話に親しめて、内容を理解できるように、言葉のつかい方を点検してみてください。

関連:話し言葉を磨ける各種レッスン


・人前で話すために適した言葉や、構成のコツを基礎から習得
「速習!人前での話し方 基礎講座」


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この記事について

【執筆者】古垣博康
【略歴】株式会社ワクリ代表。NHK(総合、Eテレ)の番組制作や番組サイト運営に携わりながら、NPOの話し方教室で講師を5年間担当。
現在は話し方のプロアドバイザーとして、話し方のお悩みに役立つレッスンを開催しています。
産業カウンセラー、認知行動心理士(認知行動療法カウンセラー)。家族は妻と子、猫2匹。
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