更新日:2024年2月2日|公開日:2022年11月9日

「二兎を追うものは一兎をも得ず」

実はこちらは「マルチタスクが苦手な人」向けの言葉でもある、と私は感じます。

並列作業が苦手な人は、仕事などで「気になる問題」が生じると、そこに意識の大半が集中しがちです。それによって、別の作業の停滞を実感する人も多い、と思います。(=二兎を追うのが大変になる)

一方、マルチタスクが習慣になっている人は、気になる問題に対処しながら、他のことも進められます。

私は元々、マルチタスクが苦手。軽い用事なら二兎を追えても、負荷の高いことは並列で進めるのはツライと感じていました。
(実際のところ、マルチタスクが苦手な人は、負荷の高い用事が重なるときに困りがちです)

その状況を改善するために、私が仕事や学びで実践した例をご紹介します。

【1】集中力が高まる時間帯、「負荷の高い作業」に注力

一日のうちで何回か、作業効率が上がる時間帯はあります。

いつもなら停滞しそうな作業でも、自分の思考処理力が高まっているので、ドンドン進められる。そんな実感が湧く時間帯です。

これは、経験してみるまでは実感を掴みづらいため、「時間帯を変えるだけで、そんなに作業が進むわけがない」と感じる人も少なくありません。

しかし、まずは「作業効率が落ちる時間帯を点検する」と、どうでしょうか。

例えば「昼食後の時間帯」に頭がぼんやりとして、作業の進みが遅くなることは、わりと経験のある方も多いものです。

すると、逆に「作業効率の上がる時間帯」も分かってきます。

これは、「時間に余裕があるとき」というより、自分のバイオリズムとして作業効率が上がる時間帯です。

まずは、自分の心身がパフォーマンスを発揮しやすい時間帯を見つけて、「負荷の高い作業を一つずつ片付ける」ことが基本になります。

【2】予定に流されない

できれば、作業効率が上がる時間帯に、作業と関わりのない予定は入れないようにすることも大事です。

例えば、仕事の打ち合わせなどは、時間をとられがちです。ご自分の希望が許容されるならば、なるべく作業がはかどる時間帯は、誰かと足並みを揃える作業を避けるのが上策。

どうしても予定が入って作業時間を確保しづらい場合、次のポイントが肝心になってきます。

いかにして「集中力が高まる時間帯」を捻出するか

職場や家でも「すぐやること(緊急度の高い作業)」が押し寄せると、「作業効率が上がる時間」が奪われていきます。

だからこそ、「すぐやることが押し寄せない時間」に、負荷の高い作業をすることがポイントなのです。

対策として、朝早くから活動を開始し、負荷の高い作業に取り組む人もいます。朝の時間帯は「作業効率が上がる人」が多いので、確かに理にかなっています。

また、夜もダラダラと過ごしがちですが、意外とパフォーマンスが上がる時間帯はあるはずです。私も子供たちが寝静まったあとは、わりと学びなどが進みます。

マルチタスクも得意になれる

ここまでにご紹介した方法は実のところ、マルチタスクではなく、シングルタスクで難題と向き合う方法です。

しかし大事なのは、「負荷の高い作業」を乗り越える中で、「作業の取り組み方や、効率化の技術」は磨かれる、ということ。マルチタスクは、遥かにやりやすくなります。

マルチタスクが苦手な人は、同時並行で作業を進めるだけの技術が、まだ身についていないことも多いのです。
まずは、自分の最大火力で、難題を打ち破り、技術を磨く。これがオススメです。

【3】仕込みのような作業は前もって進めておく

作業を一度にやらず、分散させることも、わりと大事です。

例えば私の仕事なら、原稿の簡単な下書きをスキマ時間などに済ませる。その上で、作業効率が上がる時間帯に、一気に勝負をかけて、作業を完成に近づけます。

こうした段取り力を磨くほどに、負荷の高い作業は、苦しさが減ります。
仕事や学びの苦しいときも、乗り越えやすくなります。よかったら、お試しください。

執筆者

【執筆者】古垣博康
【プロフィール】株式会社ワクリ代表。NHK(総合、Eテレ)の番組制作や番組サイト編集に携わりながら、話し方団体で講師を務める。現在は話し方講師、スピーチライター、認知行動療法&産業カウンセラー。
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