自分の言葉とは
ビジネスの現場で、こんなセリフを耳にすることがあります。
「自分の言葉で語らないと、相手には響かないよ」
この「自分の言葉」とは何なのか。
対になるのは「借り物の言葉」であり、そのニュアンスを比較してみます。
借り物の言葉
言葉や情報の要点を掴めず、なんとなくの理解で語っている状態。
芯から理解していないので、聞き手に合わせて表現を変えることや、さまざまな場面で思い出して使うことができない。
「自分が受け取った言葉や情報を、そのまま誰かに渡している」
聞き手からすればそんな印象。
自分の言葉
言葉や情報について、要点(=つまりどういうこと?)を掴んでいる状態。
だから、聞き手に合わせて言い換えることや、さまざまな話の場面で自在に活用ができる。
そもそも、言葉とは誰かが考えたものなので、「その多くは借り物に過ぎない」と解釈できます。
借りた道具に過ぎないからこそ、自分が使いこなせるよう、立ち止まって考えること。
そのうちに借りた道具についての理解や、アレンジの仕方が分かって、自分の手足のように使える。
それが「借り物感」を脱却できた状態(=「自分の言葉」を使えている状態)です。
「自分の言葉」は、なぜ必要なのか
ポイント |
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・物事の理解が深まり、他人にわかりやすく話せる ・周囲の信頼感や安心感につながる |
前項で紹介したように、物事の要点を掴んだり、表現をわかりやすく言い換えたりできるのが「自分の言葉」にできているということ。
わかりやすさから、自然と円滑なコミュニケーションが生まれます。
また、話し手の印象にとってプラスに働くことがあります。
情報の要点を掴めて、適切な言葉で表現できること。
それが、「情報をよく理解してくれる」「要点を分かりやすく語れる」という周囲からの信頼感にも繋がるのです。
自分の言葉を磨くには
ポイント |
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・言葉や情報を見聞きしたら、「つまり、どういうこと?」を考える ・アウトプットの機会を増やす ・あとから、自分の表現を振り返る |

語彙を増やすことは、それほど重要ではありません。
日常で触れる言葉や情報について、その要点を掴めること。
新規にあれこれ手を伸ばすよりも、まずは普段の仕事や生活で見聞き内容について、要点を掴めているか。
要点を掴めているかどうかは、人に話すことで確認できます。

アウトプットの機会を増やすのもお勧めです。
例えば日常の中で、友人や家族に向けて、より相手にわかる伝え方を工夫する。
本の感想をブログやSNSに書いてみる。
言葉を使うアウトプットの場面を増やして、そこで適切な表現を探そうとする気持ちが大切です。
悩んだり考えたりするほど、要点を掴む力や言葉のアレンジ力が増します。

ただ言葉を考えるだけでなく、適切な表現だったかどうかを、あとでよく振り返ることも重要。
そのためには他人がどのように受け止めたかを知ること。あるいは、時間をおいて頭と気分をリセットしてから言葉を見つめ直すこと。
今回、最後にご紹介した、「自分の言葉を磨くポイント」は以下です。
・言葉や情報を見聞きしたら、「つまり、どういうこと?」を考える
・アウトプットの機会を増やす
・あとから、自分の表現を振り返る
これらは大げさなことではなく、普段の受信や発信に、意識的に取り組むことでもあります。
言葉や情報の要点を掴み、相手にわかる表現に変えて伝えられること。
それは、人前で話すときの自信にも繋がります。

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この記事について
【執筆者】古垣博康
【略歴】株式会社ワクリ代表。NHKの番組制作や番組サイト運営に携わりながら、NPOの話し方教室で講師を5年間担当。
現在は話し方のプロアドバイザーとして、話し方のお悩みに役立つレッスンを開催しています。
産業カウンセラー、認知行動心理士。家族は妻と子、猫2匹。
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