例えば、スピーチする直前。
あるいは会議で発言をする前。
自分の「感情」がどのような状態にあるか、考えたことはありますか?
感情の例(話す前の状態) | ||
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A | 不安や怖れ=自信の無さや、否定されることへの怖れなど | |
B | イライラ=批評精神や怒り | |
C | 喜び=話すときの高揚感 |
(あまり感情の変化がない人もいます)
スポーツの世界では、メンタル面が本番時のパフォーマンスに影響を及ぼすことが知られています。話し方も同様。
今回取り上げたのは、話す前の感情が影響を及ぼすことです。
感情の影響の及ぼし方
「A 不安や怖れ」タイプは、その感情から過剰に心身が高ぶる。
つまり、「あがり」の状態になることがあります。
「B イライラ」タイプは、話す勢いがありますが・・・
自分を冷静に見つめ直す客観性が無いと、聴衆の反応がイマイチということもあるでしょう。
「C 喜び」タイプは、言うまでもないのですが、幸せな状態。
話すことが好きなのか、話せる喜びを感じるほど準備してきたのか。
力が自然と溢れ、話しやすいと感じる人も。
これらの中でもA、Bタイプは、話の最中にカタさが目立ちます。
教室に来る方を見ていると、話すことに慣れていけば、発言の最中にリラックスしていくことも増えます。
ただ、慣れないうちは、話す前の時点で堅さをとったほうが、簡単で効果的かもしれません。
以前に「話すエネルギーを高めたい人へ~言葉や話が溢れ出す心得」でご紹介したように、前もって脳とカラダを活性化しておくこともお勧めです。
今回は「感情面のコントロール」に絞って、カタさから脱する方法をご紹介します。
負以外の感情を思い返す
ポイントは話す直前に、不安や怖れ、怒りではない、喜びや安心の感情を思い返すこと。
まずは日常において、喜んでいるとき、安心しているときの感覚を、よく味わって覚えておきましょう。
喜びを感じるときの、カラダが湧きたつような感覚。高揚感。
安心できるときのホッとする感覚。静寂や包み込まれる感覚。
意識して味わうと、記憶に残しやすくなります。
あとは、その感覚を話す前に思い出してみること。
例えば、大勢に向けて挨拶する前、数秒だけでも嬉しいときの高揚感を思い出す。
すると話し始めてみて、声が伸び伸びと明るくなるなど、確かな変化を感じることがあります。
役者が役づくりをしてから演じるのと、似ているかもしれません。
高揚感をイメージするのが難しければ、物を使うのもOK。
実際に本番前に美味しいものを食べる、という人もいます。
すると、テンションが上がり、話の調子も変わる。
技術も非常に大切ですが、それを支えるメンタル面を調整しておくと、パフォーマンスや雰囲気が効果的に変わります。
もし、話す前の不安が大きい時は、ぜひ客観視を。
認知行動療法では「モニタニング」と呼ばれる、感情を数値化する手法があります。
不安や恐れ、怒りなどが最大10とすればいくつくらいか。
(自分の感覚で結構です)
また、不安だけでなく、どこかに話す喜びや自信など正の感情はないでしょうか。
数値化して距離をおいて自分を見つめると、感情に巻き込まれにくくなります。
また十分に準備をしておくと、話す喜びや安心感など、正の感情が生まれることにも繋がります。
それでもカタイ印象になるのはなぜ
せっかく正の感情を高めても、それを打ち消すのが、自分の話を「退屈、つまらない」と感じてしまうこと。
これは、準備した原稿通りに話すことが問題です。
準備は大切ですが、原稿を読み上げる感覚になると、何かに縛られるような窮屈さや、退屈な気持ちが生じます。
それも、生真面目な印象や話のカタイ印象に繋がるのです。
対策としては、一言一句を覚えるというより、話の要点を掴んでおくこと。
例えば準備のときに、何度も原稿をつくり直していると、「自分は何を言いたいか」という要点が掴めてきます。
その状態なら原稿通りでなく、言葉はその場で出るものに従って即興で話していくことができます(※)。
初めは勇気がいるかもしれませんが、慣れるとそれが標準になります。
長いスピーチやプレゼンで、どうしても原稿を手元に置きたい状況なら、せめて箇条書きにしてまとめる。
そして、元原稿の一言一句を暗記せずに話せるよう、練習しておくのがお勧めです。
教室では、だんだんとステップを踏む感覚で大丈夫ですので、自分の練習するステージを変化させてみてください。
※結婚披露宴など、言葉に注意するスピーチでは、冒頭の挨拶など一言一句の暗記が必要なことがあります。
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