更新日:2025年10月14日|公開日:2022年8月19日
このような実感はありますか?
・人前で話をしても、「うまく伝わった」という手応えを感じられない。
・自分の意図と、聴衆の理解がうまく噛み合っていない気がする。

この場合、「話の焦点が絞れていないこと」も要因になりますが、意外な点大きな影響を及ぼしていることがあります。

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古垣講師

それは、「言葉や話の抽象度が高い」ことです。

「抽象度が高い」とは、「情報の伝え方」が漠然とし、意図が伝わりづらい状態です。

その実例を、以下で紹介しています。

抽象度が高い言葉と、改善の例

1−1. 抽象度が高い言葉の例

業務の中で成長を感じられない。そうした経験はないでしょうか。

1−1の下線部で表現したいのは、「社会人としての成長」か、あるいは「仕事上のスキルの成長」なのか。

意図を汲み取ろうとしても、ふんわりした印象で、よく分からない表現です。

これを改善したのが、1−2の例です。

1−2. 具体性のある言葉にアレンジ

業務で必要なスキルが、なかなか身につかない。
そうした経験はないでしょうか。

下線部のように具体的に表現することで、聞き手が理解しやすくなります。

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古垣講師

こうした「言葉の解釈余地」を点検することが、抽象度(ふんわり具合)を改善するポイントです。

次項で、話がふんわりと伝わる、もう一つのパターンを紹介します。

一文の中で情報を列挙し、具体的な深堀りができない

話がうまく伝わらないときは、「一文の作り」にも注目することが、お勧めです。

一文とは、「。」で区切るまでの文章

その一文の中で、要素を列挙したため、具体的な深堀りができないケースがしばしばあります。

2−1. 一文の中に要素を列挙した例

この皿洗い用のスポンジは、水切れがよくて、丈夫に出来ていて、お財布にも優しい価格です。

この情報は、「水切れが良い」「丈夫に出来ている」「お財布に優しい価格」を一文に詰め込んだ例。

一見、問題が無さそうですが、耳で聞くと様々な情報が一瞬で頭を通り過ぎます。

印象に残りにくく、しかも一つ一つを深堀りできていないので、あまり効果的な伝え方にはなりづらいです。

アレンジすると、次のようになります。

2−2.一文の中の情報列挙を止めたアレンジ

この皿洗い用のスポンジは、水切れがよいので清潔に使えます。

しかも、丈夫に出来ているので、長持ちする製品です。

これだけ良いスポンジなのに、お財布にも優しい価格なのです。

2−2の例では、一つ一つのポイントを「。」で区切ってあります

さらに、

  • 「水切れがよい」→「清潔に使える」
  • 「丈夫に出来ている」→「長持ちする」

こんな風に、情報を深堀りして、具体的に書いた箇所もあります。

これは、「〇〇という性質がある」→「だからどうなる」という深堀りです。

こうすれば、ポイントが「抽象的に浅く伝わる」ことを回避でき、印象に残しやすくなります。

だからといって、全ての文章を「短い文」にすれば良いというものではありません。

ポイントを簡単におさらいしたい箇所は、一文の中で情報を列挙することがあります。

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「具体化する箇所」を判断することも、上手に伝えるためには必要です。

漠然と伝えることを防ぐ、アレンジのコツ

漠然と伝わる箇所を見つけて改善するには、自分の意識を「アウトプット」から「批評」切り替えて、原稿を丁寧に点検すること。

作り手の気持ちだと、細部についての点検がどうしても甘くなります。

また、原稿化する習慣がない人は、まず「頭の中の伝え方を、書き起こす」ことが、上達への近道です。

面倒だと思わずに、ぜひ点検の一歩を踏み出してみてください。

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「抽象度」に着目して、伝え方を細やかに点検することがお勧めです。

執筆者

【執筆者】古垣博康
【プロフィール】株式会社ワクリ代表。NHK(総合、Eテレ)の番組制作や番組サイト編集に携わりながら、話し方団体で講師を務める。現在は話し方講師、スピーチライター、認知行動療法&産業カウンセラー。
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