ここでは、そもそもスピーチに求められることを踏まえ、必要な構成法をご紹介します。
スピーチに求められることと構成の関連性
例えば、事実を伝える話なら、聞き手には「報告」に聞こえます。
一方で「スピーチ」は、「事実」+「メッセージ」の伝え方がお勧め。
伝え方の違い | |
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事実のみ | 「〇〇はこんな本でした(事実)」 |
事実+メッセージ | 「〇〇はこんな本でした(事実)。仕事の発想を広げるのに役立つかもしれません(メッセージ)」 |
「メッセージ」とは、「意見」「アイデア」「所感(感想)」などです。
聴衆は大切な時間を割いて、ある特定の人のスピーチに付き合っています。
それは、「その人だから語れること(メッセージ)」をどこかに期待する心理が、芽生えやすい状況とも言えます。
そのためスピーチの構成法も、「事実」を踏まえて「メッセージ」を伝えるという構成を練習しておくのがお勧めです。
3部構成をマスターしよう
事実を踏まえたメッセージの伝達を、シンプルに実現するのが3部構成です。
3部構成 |
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1.序論・・・話の導入、あるいはメッセージ紹介 |
2.本論・・・具体例と結論への流れ |
3.結論・・メッセージ紹介 |
本論で「事実」を踏まえておき、結論で「メッセージ」を伝えること。
実際のスピーチなら以下のようになります。
3部構成のスピーチ |
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1.序論・・・先月、伊豆を旅行した話をします。 |
2.本論・・・伊豆でつくられた珍しい黒ビールを飲んだのですが、これがウマイ。 珍しい味でした・・体験が続く・・ |
3.結論・・ネットの検索では見つからない、思わぬ出会いが旅にある。そんな話をしました |
このように、具体例を使ってメッセージを印象付けるのが、スピーチの基本的な構成法です。
当然ですが、話す前に結論となる「メッセージ」を絞っておくことが大事になります。
そのため、ネタの見当がついたら、「結論」から考えること。
次に「本論」を整理して、「序論」を考えます。以下は、その順序に沿って、ポイントをご紹介します。
本論のつくり方
本論では、結論を裏付ける流れを作ります。
扱うネタは、データなどの情報も良いのですが、「自分の体験」をまずは語れるようになるのがお勧め。
その中でもスピーチに使いやすいのは、苦楽の変化が味わえる話です。
「苦労した結果、よいことが起きた」、あるいは「楽しい気分にうつつを抜かしていたら、思わぬ苦しみを味わった」など。
あらすじだけでなく、感情の変化や場面を丁寧に語れば、臨場感も出るし、2~3分間のスピーチを作りやすくなります。
チェックする点としては、「事柄」と「感情」を、どちらも盛り込んであるか。
「事柄(その場で起きたこと)」は、自分が見た光景や聞いたセリフ、人の体がどのように動いたかなど。
「感情」は、そのときに味わった喜怒哀楽や期待感、恐怖感など。
事柄だけを描くと、味気ない話になりがちです。
感情だけだと、なぜそのような感じ方をするに至ったかが、聞き手には分かりません。
事柄と感情がバランスよくスピーチに描かれることで、話のリアリティと聞きごたえのあるボリュームが生まれます。
序論のつくり方
「結論から先に話す」とよく言われます。
とくに会議など、端的に話の意図を知らせる場なら、結論を先に出すことが有効です。
ただし、3分間スピーチのように長い話では、最初に結論を出すと、ネタバレ感や予定調和感が出てしまうことがあります。
結論となるメッセージは、話の内容によっては隠すこともアリです。
ただし、少なくとも、話の全体像を示しておくことは必要です。
「先月、伊豆を旅行したときのについての話です」など、何の話かおおよそのことが分かる言葉を入れましょう。
「朝起きて、駅に向かったのですが・・・」など、いきなり本論となる具体例から語り始めると、聞き手は何の話かを判断できないまま、スピーチに付き合わないといけません。
起承転結のデメリット
長らく情報の伝え方を研究してきましたが、残念ながら多いのが、無理に「起承転結」の型にはめようとする人です。
起承転結はそもそも漢詩をつくるための構成法であり、事実に基づいたスピーチでは「転(=変化)」をつくることが困難なことがあります。
繋がりの無いエピソードを無理にスピーチの途中に入れると、何を伝えようとするのか分かりにくい話になります。
敢えて使う必要性はないと、私の教室ではお伝えしています。
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