「発言が短く終わって、恥ずかしい」
「語るほどの経験がないから、スピーチが苦手」
「ネタ探しに苦労する」
こうしたお悩みを、しばしば教室でもお聞きします。
この記事では、そんな人向けの処方箋をまとめました。
過補償のクセがないか確認
よく、「ハードルを上げ過ぎる」「自分への理想が高い」と発言ができないと言われます。
心理学者のアドラーは劣等感を過剰に埋め合わせる行為を「過補償」と呼びました。
話すことに自信が無い場合、その劣等感から特別なエピソードや相手の印象を意識した話を人前で披露しようとすることがあります。
でも、そんな話が必要なのでしょうか。
誰しも、そんなに良い話ばかりを持っているわけではありません。
教室にくるとわかるのは、話し上手な人はごく普通の出来事を楽しそうに話せます。
まずは、自分が無意識にネタ選びのハードルを上げていないか、何気ない日常の出来事を語れるかを確認してみましょう。
経験をしっかり語るポイントを知る
人前で話をする場合、内容を充実させて語るには以下のポイントが大切です。
・話の結論を考える
・結論に共感してもらうために、盛り込む内容を検討する
結論を、漠然とした言葉でまとめるのはお勧めできません。
例えば、「以上、自分の趣味について話をしました」という結論だと、趣味の内容を語るだけで話が終わります。
もし「以上、趣味を持つことで気分転換になる という話をしました」という結論であれば、「趣味の内容」「気持ちの変化」など、より具体的な情報を盛り込めて話が深まります。
結論が漠然とせず、具体性を持つほどに描くべき情報は増えていきます。
人前で話すことが苦手な場合、結論を具体的に定められない人をよく見かけます。
話の結論で的が絞れているか、点検してみてください。
自分の好きな世界以外のことを、話してみる
「自分の世界にこだわりを持つ人」「考えることが好きな人」は、意外にも大勢の前でたくさん話すことが、苦手なことがあります。
もちろん趣味嗜好が通じている相手であれば、たくさん語れます。
でも、さまざまな嗜好をもつ人達が相手だと、相手のわかる世界をもとに、どんなメッセージを伝えればよいのか分からなくなることがあるのです。
その場合、思い切って「今までとは違った自分を見つける冒険に出る」ことをお勧めしています。
「アンラーニング」という言葉があります。簡単に言うと、手放すこと。
例えば、海外の言語を習得するために日本語で考える習慣から離れてみる方が効率が良いことがあります。
頭のバケツを一杯にしているものを、一度、バケツの外に出してみること。
好きな世界はわきに置いておいて、聴衆が理解しやすい世界のネタで、自分なりの視点が発揮できないか考えてみましょう。
すると、相手の共感しやすい事例を扱えるようになります。
勇気は必要ですが、次で述べるような情報編集力を鍛えるチャンスです。
(好きな世界の話を披露するのは問題ないのですが、たまには抜け出てみるのがおすすめです)
人前で話すなら、情報編集力を磨く
「ことばの時間」にお越しになる方から話を聞いてみたところ。。
最初はやはり、ネタ探しに苦労される方が多いようです。
人に興味を持ってもらえるような「特別な体験」を探すそうです。
しかし慣れてきたら、
「日常のささいなことについて、視点を変えて見つめる」
こんな方法でスピーチをする方が増えます。
情報収集よりも、情報編集に力を入れる話のつくり方です。
情報編集力をつけるためにオススメなのは、スピーチをたくさん聞くこと。
他者の「情報編集」に接していると、意識しなくても自然と、自分なりのモノの見方が生まれてきやすくなります。
また、聞くことに慣れてきたら「話の結論」に情報編集の視点が含まれることが多いので、意識を向けてみましょう。だんだんとそんな視点でまとめるんだなーと、情報編集の勘所が分かってきます。
(グループレッスンの「聴講参加」などを利用するのも手です)
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