更新日:2025年10月28日|公開日:2019年2月7日

自分の言葉とは

ビジネスの現場で、以下のようなセリフを聞くことがあります。

「自分の言葉で語らないと、相手には響かないよ」

この「自分の言葉」とは何なのか。

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古垣講師

「自分の言葉」と対になるのは「借り物の言葉」であり、そのニュアンスを以降で比較してみます。



自分の言葉

「自らの体験を踏まえた話」「他人に委ねず、自分で考えた話」をすること。「自分の内側から言葉が生まれる」ような実感を伴うことがあり、生き生きと話せる。

借り物の言葉

「他人の考え」や、「世間的によくある意見・表現」に沿って話すこと。台本を読むような、硬い雰囲気の伝え方になりやすい。

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古垣講師

「本から学んだ情報」をそのまま話すことも、「借り物の言葉」の印象が伴うことがあります。


例えば、当会では、「意見を考えて話すことが苦手」という悩みを、よくご相談頂きます。

自分の意見を考えることが苦手で、「ありきたりなこと」しか話せない。

これは、「自分の言葉」よりも、「借り物の言葉」を使うことに慣れている、とも言えます。

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古垣講師

ただし、「借り物の言葉で話す」ことは、必ずしも悪いこととは言えません。

例えば式典スピーチにおける「定型的な挨拶」も、借り物の言葉だと言えます。

これは「場の雰囲気」を損なわない表現として有効に活用できるため、「借り物の言葉がすべて問題」という訳ではありません。

ただし、話すチカラを高めるためには、「自分の言葉で話す」ことに慣れるのが望ましい面があります。

それは、以下のメリットがあるからです。

「自分の言葉で話す」ことのメリット

1)「物事と深く向き合いながら考える」ことが習慣になる

例えば、「A案とB案のどちらを選ぶか」という選択の際も、自分が体験した事実に照らしてみると、より深く考えて答えることが可能です。

体験にもとづいて現実感のあるイメージを膨らませ、より詳細に検討して答えることができます。

また、他人に判断を任せるのではなく、「自分自身で判断ができるよう、考えを巡らせる」ことも、「自分の言葉で話す」ことに繋がります。

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古垣講師

以上の点を日常的に意識すると、「物事と深く向き合いながら考える」ことが習慣になります。これは自分自身の成長にも繋がります。

   

2)人を動かす力が、言葉に宿る

上司が部下にアドバイスをするときも、自身の体験を交えて「自分の言葉」で伝える場合と、教科書的な知識を伝える「借り物の言葉」では、影響力が変わります。

「自分の言葉」で話すと、話し手が深く考え、本心から語る様子が伝わり、聞く人の心に響く話にもなりやすいです。

そのため「組織においてリーダーシップを求められる人」には、まさに「自分の言葉で話す練習」はお勧めです。

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古垣講師

「自分の言葉」を生み出す作業は、最初は手間に感じるのですが、慣れてくるとスムーズに使えるようになります。

「自分の言葉」で話すときの注意点

当会でも、スピーチ作りを通して、自らの体験や考えを踏まえた発信を練習して頂いています。

即興で話すトレーニングにもなり、自信が付きやすいメニューです。

ただし、注意点は「自分だけが納得する話」「多角的な検証を踏まえない話」にならないよう、意識することです。

「話の客観視」に慣れていないと、自分の体験や考えに根ざす分だけ、偏った意見に繋がることがあります。

できれば、他者の客観的なフィードバックを交えつつ、「自分の言葉で話す」練習を積んでみるのがお勧めです。

執筆者

【執筆者】古垣博康
【プロフィール】株式会社ワクリ代表。NHK(総合、Eテレ)の番組制作や番組サイト編集に携わりながら、話し方団体で講師を務める。現在は話し方講師、スピーチライター、認知行動療法&産業カウンセラー。
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