更新日:2024年2月24日|公開日:2018年4月24日

「あがり症」といってもその原因には様々なものがあります。

「人から注目されると恥ずかしくて、自分の意見を言いづらい」
「自分の感情や意見よりも、与えられた課題や役割に縛られてしまう」

「引っ込み思案」とも言われる、ひどく遠慮してしまうタイプです。「控えめでいい人」と周囲に思われやすい人も、こうした性質を持つことがあります。

その性質をひもとくと

精神分析の口語訳と言われる「交流分析」では、
素直に感情を出す性質を「FC(Free Child=自由なこども)」
他人を受容する性質を「AC(Adapted Child=受け入れるこども)」
と捉え、そのいずれも自我の一部と考えます。

(そうした性質の強弱によって、人の個性がカタチづくられるという考え方です)

FC(Free Child)
積極的に自分の感情を表現する性質
AC(Adapted Child)
自分の感情を抑えて、遠慮する性質

・この性質が強すぎると、奔放で、自己中心的な印象に。

・この性質が弱いと、自分の感情を押さえがち。

・この性質が強すぎると、自分を抑えすぎて他人のコントロールを受けやすくなる。

・この性質が弱いと、協調性がなく、人の意見を聞かないことも。

FCが弱い傾向(=自分を出せない)と、ACが強い傾向(=受け身になってしまう)を併せ持つ人は、とくに遠慮しがちなタイプです。大勢から注目される中で自分自身の意見を話すのは、苦痛とも言えるシチュエーションかもしれません。

克服するために~自分の「話したい欲求」に気づく

「話したい欲求」は、実は多くの人が持っています。ただ日頃の習慣次第では、「自分の話したい欲求にフタ」をしてしまったり、「話を避けて、一時的な安心を得られる」ようになったりします。

ただ、本当は「人前で話せないと自信がつかない」ことは、気づいている人も多いはずです。

対策としては、話し方教室でもサークルでも良いのですが、安心して話せる環境の中で、話を始めてみること。

実際に話をしてみると、最初は相当にドキドキしても、どこか気持ちの中にたまっていたものがスッキリしたような爽快感を味わえる人もいます。

ただし、人前に立つ緊張感が強いようならば、適切な緊張対処のトレーニングなどを経てから、大勢の前で話すのが推奨されることもあります。

克服するために~主知的に自分の言葉が、相手に伝わる自信をもつ

もともと引っ込み思案のため、伝えることに自信を持てない人もいます。

また、このタイプの人は、

・意識が散らかりやすく、話の組み立てがニガテ
・適切な言語化、あるいは具体化した話がニガテ

などの特性をもつ人も、一定数いらっしゃいます。

そのため、伝え方に自信を持つことも、一歩を踏み出す自信になります。

伝える際の言葉の選び方や、内容の組み立て方が分かると、他者に自分の意見を分かってもらえる実感が湧き、自信になります。

当会でも、
「いかに自分勝手な言葉選びをして、伝わらない状況を作っていたか分かった」
「それなりに話せるだろうと思っていたが、実は内容が独りよがりなものだと気づいた」
こうした実感を持つ人が多いのです。

トレーニングをすることで、受け身ではなく、主体的にコミュニケーションをして、人に関わる自信がついていきます。

これは、話す際の自分への信頼感(自信)が変わることに繋がります。

講師の体験から、引っ込み思案を克服するまで

実は、筆者自身も、もともとは引っ込み思案な人間です。
職場の会議ですら、人前で口を開くのが苦痛だった時期があります。

そこで、話し方教室に通ってみたのです。

自分が人前で緊張して震えながら話をしてみて、気付いたのは「のびのびと話せない」ということ。自分が心から楽しんだことを、言葉にして話すことができませんでした。
社会において適切に自己表現をすることに慣れていなかったので、当然のことだと思います。

ただ、仲間と勉強会などの場も作りながら、自分が心で感じたことを言葉にして話す練習をしてみました。だんだんと、話すことが苦痛ではないと感じるようになりました。

また、人前で上手に話す人を観察もしました。するとある人は、一人一人に話しかけるようにスピーチをされていました。私はハッとしたのですが、「普段、一対一でもしっかり人と向き合おうとしていただろうか」と考えさせられました。

人前に立つ以前に、そもそも、コミュニケーションに消極的だった自分に気づいたのです。それから心理学などを通じて自分を知り、人と関わるために必要なことを学ぶに至りました。
こうした経験のおかげで、今では人と関わることが、当時ほど苦痛ではありません。

恥ずかしさ感じやすさは、自分の生来の性質としてありますが、付き合い方がわかれば、それほど困る材料ではなくなるのです。

ぜひ、自分に必要な学びを見つけてください。個人にあったトレーニングができれば、話す自信が身につきやすいです。

Digiprove sealCopyright secured by Digiprove © 2018

執筆者

【執筆者】古垣博康
【プロフィール】株式会社ワクリ代表。NHK(総合、Eテレ)の番組制作や番組サイト編集に携わりながら、話し方団体で講師を務める。現在は話し方講師、スピーチライター、認知行動療法&産業カウンセラー。
講師詳細  話し方オンラインレッスン開催

ことばの時間通信(無料メルマガ)

「話し方ノウハウ」&「講座情報」週1回配信
※登録解除はいつでも可能です
記事大分類から探す
タグから記事を探す

講座ページアクセス順位
  1. 人前での話し方 基礎講座
  2. 説明力を磨く 個別レッスン
  3. 会話力を伸ばす 個別レッスン
  4. みんなのとーくクラブ
  5. 経営者・専門家向けスピーチレッスン


カウンセリングアクセス順位
  1. あがり症改善 認知行動療法
  2. 話し方・あがり症総合カウンセリング
  3. 評価軸と自信のカウンセリング