更新日:2023年11月15日|公開日:2019年1月23日
こんな悩みはありますか?

・普段、言葉が思うように出てこない

・グループの中で発言しにくい

・人前で話すネタがない


あなたは、自分の内から言葉や話が湧き出て、勢いよく話せる人でしょうか。

それとも、自分を抑えるチカラがよく働く人でしょうか。

もちろん、ただ言葉が出れば良いワケでもありません。

社会人になると、様々な経験を積むうちに、事の良し悪しが分かり、自分を制御するチカラが強化されます。

ただ同時に、自分の内側で話すためのエネルギーが高まらないと、自分を抑圧するばかりで話をしづらい人もいます。

パフォーマンスの理論としてよく引用される「ヤーキーズ・ダットソンの法則」があります。

ヤーキーズ・ダットソンの法則 図式

その研究では生理的覚醒(鼓動が早くなるなど)が中程度のときに、もっともパフォーマンスを発揮しやすいとされています。

たしかに、レッスンを受けたあとに「勢いよく話せる」「よく声が出る」など、脳とカラダに適度にエンジンが掛かっているときは、自分の話すエネルギーの高さに驚く人が多いものです。

これは、才能ではなく、誰しも備えている自然なメカニズムです。

話すための脳とカラダのスタンバイをする方策を、以降でご紹介します。


運動などで脳とカラダを活性化

言葉を選び、話すためには、脳や体の様々な機能を使います。

だから、前もって脳や体を目覚めさせておくこと。

ときには、走る、歩くなどで、交感神経を適度に高ぶらせると、カラダが目覚めるのはもちろん、脳も覚醒します。

とくに脳の作業台とも呼ばれる「ワーキングメモリ」は、情報処理や感情の制御にも関わっています。

走るとワーキングメモリの働きが高まりやすいことが分かっています。

歩く場合でも、街より公園など自然がある環境で散歩すると、ワーキングメモリ―が活性化しやすいとされています。

実際に古垣も大きな舞台で話すときは、走る・歩くなどして、脳とカラダのウォーミングアップを済ませておくことが多いです。

普段から穏やかな人はとくに、脳やカラダのウォーミングアップをしておくことが、話すためにはプラスに働きます。

批評を話す自信に

批評と聞くだけで、毛嫌いする人もいますが、実は自信をもつために、重要な要素なのです。

自分の考えを十分に批評できると、他人から批評されても揺らぎづらくなります。

また、アクセルだけでなく、ブレーキが十分に利くから、スピードを出しても安心なのです。「これだけ考えたから、話しても大丈夫」という、自分を後押しするエネルギーに変わります。

ただ、批評が尽きないほど、自分に否定的な意見を思いつく場合は、適切な批評ではないのかもしれません。

批評とは、優先順位を検討して、よりよいゴールに導く方法です。

当会のレッスンでも、伝え方のトレーニングをしながら、自分の話への適切な批評力を磨いて頂いています。

印象的なことを日常から発見する

話を思いつきにくい人にオススメの方法です。

日常の中で印象に残った「場面」「情報」

(ありふれた些細なことでOK)

さらに、その場面や情報の何が気になるのか。

なぜ、自分の人生や仕事にとって、大切なことだと感じるのか。

そんなことに思いを巡らせると、自分の言葉を生むためのエネルギーが高まります。

1日の終わりに、印象的なことを振り返ってもよいでしょう。

普段から話のネタが無いと感じる人は、自身の体験を漠然と眺めていて、些細なことを見逃していることがあります。

本来は些細な事からこそ、話が生まれます。

「共有する」心の姿勢を持つ

そもそも、「人に慣れない」「聴衆が怖い」といった場合に、自分のエネルギーにフタをしがちです。

ですが、聞き手の多くは敵対しているのではなく、あなたの言葉で何らかの刺激をもらえることを楽しいと感じる人々です。

「自己開示」とも呼ばれますが、まずは安心して話せる場所で、自分の話を誰かと共有する感覚を養ってください。

何度かそうした場で話していると、人との向き合い方に変化が訪れてきます。

言葉に触れることを楽しむ

普段から、読書などで他者の言葉に触れることはおすすめです。

適度に休止しながら読書をすると、自分の感情や思考と、言葉が結びつきやすくなると感じる人が多いようです。

ちなみに、誰かの話やスピーチを聞くことも、他者の言葉に触れることです。

だから教室で他人のスピーチを聞いているときに、話を思いつきやすい人もいます。

聴衆から話すエネルギーをもらう

「自分の話は詰まらないと、聴衆に思われる」
「自分の話では、会場が盛り上がらない」

こんな風に話に自信がないと、人前でエネルギー一杯に話せない人はわりと多いです。

だんだんと萎縮してしまったり、途中で声が詰まったりする人もいます。

話に自信がある人は、自分の話で聴衆を盛り上げるなど、反応を引き起こすことができます。

すると、その聴衆の反応を追い風に、さらに自分も高揚して話すわけです。

だから、話せる人にとっては、人が多いほうが、会場のエネルギーが大きくなり、話すのがラクと感じる人がいます。

ホームグラウンドのように、聴衆が自分を乗せてくれるので、ラクに話せるわけです。

だから、話を準備する腕前も、案外、大事なのです。

注意点

決して「エネルギー一杯に話せる人は、自分とは別種の人間だ」とは思わないことが大事。

実は、話せる人は、ここで挙げたような様々なトレーニングや調整を行っていることが多いです。

工夫次第で、話すためのエネルギーは高まります。ぜひ、自分の力を信じて挑んで頂けたらと思います。


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執筆者

【執筆者】古垣博康
【プロフィール】株式会社ワクリ代表。NHK(総合、Eテレ)の番組制作や番組サイト編集に携わりながら、話し方団体で講師を務める。現在は話し方講師、スピーチライター、認知行動療法&産業カウンセラー。
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