公開日: 2023年5月8日

なぜ、聞き損なうのか

企業や学校などが開催する説明会。

参加者が情報をきちんと受け取れず、十分に周知ができなかったり、結局は問い合わせが増えてしまったりすることは少なくありません。

そうなる原因としてもっとも多いのが、以下の点です。

説明の進行に、聞く側が追いつけない

とくにスライドや資料を使う際に、よく起きる現象です。

参加者は各々、話を耳で聞きながら、スライドや資料の該当箇所を目で探します

その該当箇所が見つからないのに、主催側は自分のテンポで話を進める

とくに、主催側は時間が限られているため、効率よく情報を伝えねばならない状況が多いものです。

そのため、資料の要所だけをかいつまんで話すことが多いのですが、聞く側がまったく付いていけていないことが、頻発しています。

実際に、そのあとで聞く側が説明を理解しない行動をとったり、あらためて確認の問い合わせがあったりと、担当者のフォローが必要な例は、わりと多いはずです。

(実際は参加者同士が不明な点を確認しあっているなど、そうした自助努力にお任せになっていることさえあります)

対策1: 話の現在地を示しやすい、スライドや資料の工夫

箇条書きの資料の様子

例えば上図のような「箇条書きの資料」を説明する際に、「上から2つ目の項目ですが」「下から3つ目の項目ですが」などの表現は、迷いの元。

こうした話し方が続くと、話と資料類の対応を探すために、参加者の反応が1テンポ遅れます。

番号を振った資料の様子

対策としては、資料の箇条書きには「番号を振る」。番号を伝えれば、参加者がすぐに目線をそこに移しやすいです。時間が限られた進行や、情報量の多い説明会なら、それほどの配慮が必要です。

余談になりますが、考えておきたいのは、普段からこうした配慮が組織内で浸透しているか。組織の内には、話を聞くこと、話す側のスピードについていくことが不得意な人がいる可能性は十分にあります。
しかしながら運営側が「聞く側の苦労」に配慮しない話し方をしていると、それだけ組織の動きも悪くなります。説明会だけの問題ではないと私は感じます。

対策2:1項目の文字量を適切に

目で見て頭リに入りやすい文字量と、目で見て頭に入りづらい文字量の違い

理想は、スライドや資料は箇条書き。(もちろん前述の、番号を振る必要性は要検討)

また、1項目ずつ「目で見て頭に入りやすい」文字量に仕上げる。

短い文字量の方が、聞く人は短時間で文章を読み解き、「では、話を聞こう」と意識を切り替えられます。

スライドや資料に掲載しない内容は、口頭で補足すれば良いでしょう。

ただし、参加者にとって重要な補足事項がある場合、口頭で伝えると、聞き漏らす人が生じがちです。

補足でも大事な点は抽出して、スライドや資料に書き添えることは忘れずに。

なお、説明する内容によっては、どうしても長い文章などで掲載せざるを得ない状況もあるかもしれません。しかし、長い文章を説明会の場で読ませるのは、参加者には酷です。
できれば、事前に送付して読んでおいてもらうのがベスト。

主催者も忙しい中、説明会の準備は大変だと思います。ただ、一度、聞く人に分かりやすい資料や進行のフォーマットを作れれば、それ以降の説明会の成果が変わるはずです。

執筆者

【執筆者】古垣博康
【プロフィール】株式会社ワクリ代表。NHK(総合、Eテレ)の番組制作や番組サイト編集に携わりながら、話し方団体で講師を務める。現在は話し方講師、スピーチライター、認知行動療法&産業カウンセラー。
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