ここでの「良いことを言おうとする」とは、話に「何らかの価値を上乗せ」してしまうことです。
話の苦手意識を持っている人から、
「ついつい、良いことを言って話に情報を足してしまうんです」
「気の利いたことを言おうとして、話がゴチャゴチャになります」
などといったお悩みをお聞きします。
良いことを言おうとするけど、話自体にはマイナスに働くことがある、ということです。
スピーチだと以下の文例のようになります。
文例 |
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私が愛用するフライパンについて話をします。 ~中略~ …このように、デザインはよくないのですが、性能はよいのです。 道具も人間も見た目ではないと分かりました。 探し続けていると、ニーズを満たす道具が見つかるものです。 皆さんも、自分に合った道具が見つかると良いですね。 |
下線部は、話の価値を盛りたくて、思いついたことを加えた部分。
実は、下線部をカットしても十分な話として通用します。
文例 |
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私が愛用するフライパンについて話をします。 ~中略~ …このように、デザインはよくないのですが、性能はよいのです。 探し続けていると、ニーズを満たす道具が見つかるものです。 皆さんも、自分に合った道具が見つかると良いですね。 |
別に、こちらでも十分な話です。
例えば、価値の上乗せを「説明」「会議」「スピーチ」「プレゼンテーション」などでやると、以下のような事態が起きます。
- ・説明をして、良くわからないといった反応をもらう。
- ・会議の意見で、周囲を十分に説得できない。
- ・人前でスピーチやプレゼンテーションをしていて、聞き手が不思議な顔をする。
話す本人は、悪気があって、やっているわけではないのです。
私がカウンセリングをしてきた経験では、「話すことが不安」な人ほど、良いことを言おうとする傾向があると感じます。
確かに、価値のある説明やスピーチを聞けると、相手が「良い時間を過ごせたな」と感じます。
しかし実は、価値を上乗せするのではなく、きちんと的を絞った話をすることがベースとなるのです。
情報を伝えるために本当に必要なのは、「結論までの道筋がブレずに、話せるチカラ」です。
途中で色々と思いつきますが、頭で「これは、この話の道筋から離れるな」と判断したら、カットをします。
すると、伝えることがあいまいではない、洗練された印象の話になります。
普段から、一つ一つのことをじっくりと伝えようとしているか。
原稿と向き合って、見つめ直してみるのもお勧めです。