スピーチで陥りやすいのが、情報収集に力を入れてしまうこと。
しかも陥りやすいのが、聞く人が驚くような面白い体験を探す、印象の強いネタを探すことです。
確かにネタに自信があれば、プレッシャーが掛かる場面でも安心感が生まれやすい面はあります。
ただこれは、講演やスピーチコンテストなどの特別な場なら、まだ良いのです。
朝礼など「定期的に話す場」では、次の機会に向けた準備がツラくなります。
自分の中で面白いネタの水準を維持しないといけない、そんな他人からの印象を維持しようとする心が生まれ、毎回のネタ選びが難航しやすいです。
これは、3,000人以上のトレーニングにご一緒してきた経験からすると、かなりの確率で起こります。
むしろ定期的に話すために必要なことは、情報収集よりも「情報編集」に舵を切る。
つまり「何気ない日常の話」をベースに話を作ることです。
体験の珍しさではなく、日常から自分が何を得たか。つまり、思索や気付きの面白さでスピーチを仕上げられるのです。
例えば、
「昨日、趣味の道具を購入して、そのときの接客から学んだこと」だとか。
「仕事をしているなかで、人間関係に救われて考えたこと」だとか。
誰にでも起こりそうな出来事でも、「自分が何を得たか、学んだか」は、自分だけの感じ方や考え方が反映されます。
だから、固有の魅力があるので、聴衆にとって聞き甲斐のある話になりやすいです。
情報編集で気をつけたい点ー思考の語りの長さ
気をつけたいのは、思考の語りが長すぎる話は、理屈っぽく聞こえること。
なるべく体験談をしっかり描いて、思考は必要最小限に留める。
もともと考えることが好きな人は、思考に触れた箇所が長くなりがちなので、注意が必要です。
情報編集で気をつけたい点ー構成感
序論で全体像を示唆。本論で具体例と思索を展開、さらには結論の明示など。
大切なのは、雑談ではなく、目的のあるスピーチに仕上げること。
そのためには結論を設定して、無駄を省くことも必要です。
色々な要素が混ざった雑談ではなく、スッキリと構成して話を聞かせること。
本当は、情報の収集に力を入れた場合も同様なのですが、構成感次第で、聴衆の集中力は変わります。
ちなみに、情報編集や構成の技術は奥深く、自分自身の体験から、どの要素を抜き出すかで、何を感じたかという視点も変わります。つまり話の深まり方まで違います。
ぜひ、ネタを探す「情報収集」よりも、話をつくる「情報編集」の腕を磨いてみてください。
情報編集力を磨いておけば、突然のスピーチでも、話をスムーズに準備できます。
Copyright secured by Digiprove © 2019