更新日:2025年9月15日|公開日:2016年8月8日

話の途中で内容をすっかり忘れてしまったことは、ありますか?

とくにスピーチやプレゼンの大事な場面で、穴が空いたようにぽっかりと、「何を話すべきだったか」を思い出せないことがあります。

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古垣講師

一度経験すると、「また起きるのでは?」と不安になる皆様も多いです。

今回の記事では、話を「ど忘れ」したときの対処法や、準備の段階で必要なことを紹介しています。

ど忘れするのは、なぜ?

簡単に表現すると、頭の余力がないときに、話す内容をど忘れします。

緊張時には、認知資源と呼ばれる「頭の余力」が少なくなりがちです。

だから、平時ならスラスラと話せることも、緊張すると想起するための頭の余裕がなくて苦労しがちです。

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古垣講師

とくに話が飛ぶのは、情報量の多い文章話し終わった直後です。

頭の余力が少ないときに、情報量の多い文章を思い出すのは、脳の大きな負担になります。

ただ、練習しておけば、多くの方は「情報量の多い文章」までは、なんとか話せます

ですが、その箇所を話し終わると、頭の余力(認知資源)が一時的に枯渇します。

そのため、その先を思い出す余力を失いやすいです。

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だからこそ、情報量が多い箇所を事前に調整することが、「ど忘れ」の予防策としてもっとも大事なのです。

ただ、話が飛びやすい人ほど、情報の要不要の判断が、思い切りがよくないことがあります。

あれも必要、これも必要だと、色々と気遣いして情報を盛り込むため、情報量が増えてしまうことがあるのです。

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本番で安定感のある話をするために、情報を盛り込んだ箇所整理しておくことが肝心です。

しかし、それでも本番でど忘れしてしてしまったら、どうするか。次の項目で対処法をご紹介しています。

ど忘れしたときの対処法

落ち着くのは難しいのですが、対処法はあります。

色々な人のスピーチを見てきた経験上、もっとも記憶を戻せる確率が高いのは、沈黙するのではなく、「何かを語り続けながら、記憶が戻るのを待つ」ことです。

例えば、「話が飛んだ箇所」の言葉を繰り返し、関連する話をそれとなく続けてみるのも一手です。

話を続けて、記憶が戻る例
先日、ショッピングモールにいったんですが
フードコートに話題の天ぷら屋が出店していて、驚きました。

(↓話したい内容を忘れたので、「話題の天ぷら屋」という言葉を繰り返す。また、それに関連する話をそれとなく続ける)

・・・そこには、今話題の天ぷら屋がオープンしていたんですね。
天丼がすごいボリュームで、手ごろな値段なんです。
私もテレビで紹介されていたのを見て、ぜひ食べたいと思っていたんですが、

(ここで、テレビの影響力を語りたかったことを思い出す)

このように、関連する話を続ける中で、「もともとはこれを言いたかった!」という情報を思い出せることがあります。

カウンセラーも、相談者の話が飛んでしまったときに、それまでどのような話をしていたかを振り返ってもらう中で、その先の内容を思い出してもらえることがあります。

あるいは、講演会などで時間をかけて複数の項目に触れるときは、忘れたらあまり粘らずに「思い出したら話しますね」といって、他の項目に移った方がよいこともあります。他のことを話す中で、自分が伝えたかったことを思い出せることもあるからです。

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いずれの場合も、沈黙ではなく、語り続ける中で、言葉に紐づいて内容の記憶が戻ってくることが多いです。


ど忘れしないための、話の練習法

話の適切な練習が、ど忘れを防ぐ処方箋なんです。

前述のように、原稿の情報量を調整することは、まず考えて頂きたいポイントです。

さらに、記憶するための練習法も、コツがあります。

ときどきお見かけするのが、原稿を眺めながら、覚えることに時間をかける皆様です。

実は、それ以上に必要なことは、思い出す練習をすることです。

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古垣講師

認知心理学などの世界で知られていますが、記憶には、「記銘(覚える)→保持(キープ)→想起(思い出す)」という段階があります。

話をど忘れする場合、基本的には話を覚えているけれど、本番で「思い出せなくなる」人が多いです。

だから、想起(思い出す)の部分までを意識して、練習をしておく必要性があります。

なお、一言一句まですべて覚えるか、あるいは重要な単語を中心に覚えるのか。その辺りは、話す目的に応じて、ふさわさしい練習が必要です。

式典などのスピーチは、一言一句を間違えずに話すべき場もあります。

しかし、小規模の集まりにおけるスピーチは、そこまでの練習は不要なことが多いです。

ただし、いずれの場合でも、話の情報整理話す練習が適切でないと、記憶が抜けやすいと感じます。

当会では、話す目的に応じたふさわしい練習法をご紹介しています。

情報の組み方と記憶術を学ぶ!
入門編「ラクに話せる文章の基礎」+「本番力が身につく練習法」」

なぜ、話を覚えづらいのか、その解説をご覧頂けます。

放送業出身の講師が教える、「スピーチを覚えて話す」ための動画レッスン。
ひとりでも本番並みの負荷を味わいながら、スピーチ練習ができます。

執筆者

【執筆者】古垣博康
【プロフィール】株式会社ワクリ代表。NHK(総合、Eテレ)の番組制作や番組サイト編集に携わりながら、話し方団体で講師を務める。現在は話し方講師、スピーチライター、認知行動療法&産業カウンセラー。
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