話の途中で内容をすっかり忘れてしまったことは、ありますか?
とくにスピーチやプレゼンの大事な場面で、穴が空いたようにぽっかりと、「何を話すべきだったか」を思い出せないことがあります。
話をど忘れしたときの対処法や、準備の段階で必要なことを紹介しています。
ど忘れするのは、なぜ?
簡単に表現すると、頭の余力がないときに、話す内容をど忘れします。
緊張時には、話を思い出すための脳の余力が少なくなります。
だから、平時ならスラスラと話せることも、緊張すると出てきづらくなります。
とくに話が飛ぶのは、情報量の多い文章を話し終わった直後です。
情報量の多い部分を思い出すことで、脳の余力が無くなり、その先を思い出す力がない状態。
だから、そうならないように、情報量が多い部分を事前に調整しておくことが、もっとも大事な予防策なのです。
ただ、話が飛びやすい人ほど、情報の要不要の判断が、思い切りがよくないことがあります。
あれも必要、これも必要だと、色々と気遣いして入れるため、情報量が増えてしまうことがあるのです。
まずは、話すために最適化した原稿を作る。そのためには、情報量を思い切りよく編集することが肝心なのです。
しかし、それでも本番でど忘れしてしてしまったら、どうするか。次の項目で対処法をご紹介しています。
ど忘れしたときの対処法
色々な人のスピーチを見てきた経験上、もっとも記憶を戻せる確率が高いのは、話の道筋を見失うまでに伝えていた内容を引き延ばしながら、話を続けることです。
例)
先日、ショッピングモールにいったんですが
フードコートに話題の天ぷら屋が出店していて、驚きました。
(次に話したい内容を忘れてしまう)
・・・驚いたというのは、今話題の天ぷら屋だったんですね。
天丼がすごいボリュームで、手ごろな値段なんです。
私もテレビで紹介されていたのを見て、ぜひ食べたいと思っていたんですが、
(テレビの影響力を語りたかったことを思い出す)
引き延ばすうちに、「あ、もともとはこれを言いたかったんだ!」と話したかったことを思い出せることがあります。
カウンセラーなども、相談者側で話す内容が飛んでしまったときに、
以前に話していたことをたどってみて、話す内容を思い出してもらうことがあります。
あるいは、講演会などで時間をかけて複数の項目に触れるときは、忘れたらあまり粘らずに「思い出したら話しますね」といって、他の項目に移った方がよいこともあります。他のことを話す中で、自分が伝えたかったことを思い出せるからです。
いずれにしても、ど忘れした話を思い返すためには、沈黙ではなく、
なにか話を続けるうちに、「次は何を伝えるはずだったか」という記憶が、言葉に紐づいて戻ってくることが多いと感じます。
ど忘れしないための、話の練習法
前述のように、原稿の情報量を調整することは、推奨できる点です。
さらに、記憶するための練習法も、コツがあります。
ときどきお見かけするのが、原稿を覚えることに時間をかける皆様です。
実は、それ以上に必要なことは、思い出す練習をすることです。
認知心理学などの世界で知られていますが、記憶には、記銘(覚える)→保持(キープ)→想起(思い出す)という段階があります。
話をど忘れする場合、基本的には話を覚えているけれど、本番で「思い出せなくなる」人が多いです。
だから、想起(思い出す)の部分までを意識して、練習をしておく必要性があります。
また、一言一句まですべて覚えるか、あるいは重要な単語を中心に覚えるのか。その辺りは、話す目的に応じて、ふさわさしい練習が必要です。
式典などの重要なスピーチは、一言一句を間違えずに話すべき場もあります。
しかし、日常的な場面のスピーチでは、そこまでの練習は不要かもしれません。
ただし、いずれの場合でも、話の情報整理と話す練習が適切でないと、記憶が抜けやすくなることがあります。
当会では、話す目的に応じたふさわしい練習法をご紹介しています。
あがり症改善 自分と向き合う認知行動療法