
古垣講師
環境によっては、ご本人のコミュニケーションが適切でも、孤立の問題が起きることがあります。
そのため、コミュニケーションの改善を検討する以前に、「ご本人が安心できる環境であるか」は、何より重要なポイントです。
ただ、ご本人の「居場所が見つかりそうな環境」でも、人間関係をうまく築けずに、学校や企業に所属しづらくなる方も、いらっしゃいます。
当会にもご相談やトレーニングにお越しになりますが、お悩みの傾向としては「特定の人としか話せず、社交場面がニガテ」という方が多いです。
そうした性質があっても、様々な人に協力を得たり、情報を共有してもらったりと、互いに助け合うことが必要だと、よりコミュニケーションの必要性が高まります。
この場合に、意外な性質がコミュニケーションの邪魔をすることがあります。

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それが、「無駄を嫌う」など、合理的なことを求めすぎてしまう性質です。
つまり、自分が必要だと思う点に意欲を向けることが多く、日常的に挨拶や雑談をするなどの社交的な関わりへの関心が乏しいのです。
その場合、以下の点を認識できているかは、重要です。
例えば、普段は付き合いの無い人から急に「宿題で聞きたいことがある」あるいは「仕事を手伝って欲しい」など頼まれると、ご自分だったらどう思うでしょうか。
相手の要求の大きさを測りかねて、自分に不利益が生じるのではないかと、警戒することが多いと思うのです。
信頼感があれば、「この人は、自分に無理なお願いをすることは無いだろう」と安心感が湧き、協力しやすいです。
こうした、他人への信頼感や安心感は、普段の付き合い方が影響しやすいです。
その点の配慮が不足すると、学校や会社で協力を得づらくて、居心地が悪くなるケースもあります。

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対策としては、以降でご紹介する「関係づくりのスキル」を磨くことが一助となります。
信頼関係をつくるための雑談
例えば、
- ・普段、何を考えているのか(信頼できる人か)。
- ・他人にどのような姿勢で接してくる人か。
こうした事情がわかるのが、「雑談」です。
雑談は、言葉のやりとりを通して、「相手の人柄や関心事」などを把握できます。
そのため、自然と他者理解が進み、関係構築に役立ちます。
また、そもそも会話をすることは、「あなたの存在を認識しているよ」と、他人の存在を認める行為でもあります。
そうした背景からも、言葉を交わした相手には、信頼感や安心感が育まれやすいことがあります。
では、様々な人と雑談をするために、具体的にどのような技術が必要なのでしょうか。

古垣講師
その一つが、幅広い会話の話題に付き合えることです。
狭い範囲で人付き合いをしていると、趣味が似ているケースが多いものです。
できれば、様々な人と共通点を見出しながら、自分が関わる世界を広げていく。
こうした付き合い方が、様々な人と雑談をする際に、必要になることがあります。
例えば、自分が詳しくない世界でも、その奥にある喜びの感情などは、共感がしやすいことがあります。
「他人が何が楽しいのか、何が喜びなのかをしっかり聞き出して知る」と、会話に付いていきやすくなるのですね。

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こうした聞く技術も会話の幅を広げ、様々な人との関わりやすさを変えます。
ぜひ、雑談の話す、聞く技術を磨いて、他人との関係性を深めて頂けたらと思います。



【執筆者】古垣博康


