更新日:2025年10月11日|公開日:2023年10月26日
こんなお悩みはありますか?
・他人の気持ちを読みすぎてしまうのか、堂々と話しづらい
・特定の人に、自分の話が伝わりづらいことがある
・相手のことを考えすぎて、遠慮しがちな伝え方になることがある

本来、「気遣いが上手」なことは、仕事や人生で役に立つチカラです。

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古垣講師

他人が困ることを察知し、先回りして対応できる力を持つ人も多いです。

しかしながら、コミュニケーション上のお悩みを自覚され、当会を受講される方もいらっしゃいます。

このコラムでは、お悩みの原因と改善のポイントをご紹介しています。

【原因1】直感的に、気遣いをしてしまう

心理学では「速い思考(直感的)」「遅い思考(理性的)」という考え方があります。(Evans & Stanovich, 2013)

速い思考(システム1) 遅い思考(システム2)
直感的熟考的
速い遅い
進化的には古いシステム進化的には新しいシステム
無意識的意識的
自動的制御的

例えば、気遣いが習慣になる人は、経験をもとに直感的、反応的他人の困りごとを感じ取る人がいます。

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感覚的に気遣いのポイントを探してしまう、とも言えます。

これが「速い思考」と呼ばれるもので、比較的、自分がラクにできることです。

しかし、速い思考ばかりに意識が傾くと、脳に負荷をかける意識的な思考(遅い思考)の習慣が乏しくなります。

そうした事情から、意識的に考えるコミュニケーションに、不慣れとなる例があります。

例えば、「情報整理のニガテ意識」理性的に情報をまとめられないことや、自分の伝えたい要点が漠然としたまま、他人とコミュニケーションしてしまうケースがあります。

また、相手に配慮しすぎて「伝えるべきこと」を正面から話せず、避けてしまう人もいます。
(受け身で、主体性を発揮しづらくなる)

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ただ、伝え方が上達すると、自信をもってコミュニケーションができるため、周囲の人にも主体的に関わりやすくなります。

【原因2】特定の人に、自分の話が伝わりづらい

気遣いが上手な人の中には、共感力が高く、他人の意図を読み解くことに慣れた人がいます。

ただ、ご自身には共感力があっても、他人に同じだけの共感力があるとは限りません

そのため、「自分なら、このように話せば理解できる」と考えて伝えても、同程度の共感力がない相手には、「必ずしも理解しやすいものではない」ことがあります。

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自分の言葉が、相手にどのように受け取られるかは、共感力がある人でも読み解きづらいことなのです。

【対処法1】情報の伝わり方を点検

言葉や話の「過不足」や「抽象度」を点検しながら、他人にどのように伝わるかを検討します。

  • 「過不足」⋯言葉の多い箇所、少ない箇所のこと。
  • 「抽象度」⋯意味がどの程度、漠然と伝わるかを点検すること。

どちらも、最初は他人にフィードバックをもらいながら、詳細に点検すると、自分の習慣に気づきやすくなります。

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自分の話の「過不足」や「抽象度」を、自分自身で客観視することは、なかなか難しいです。

【対処法】情報の範囲と深さを適切に設定

感覚的に思いついたことを話してしまう場合は、以下の2つは、論理的に伝えるために考えておきたい点です。

  • 1)伝える内容を意識:適切な話の範囲を考える
  • 2)具体化:ぼんやりとではなく、どこを深掘りするのかを考える
情報を扱う際に考えておきたい、水平方向の情報の広がりと、垂直方向の話の深まり方

1)は、水平方向の話の広がりから、どこからどこまでを話すか。

また2)は、1)で決めた話の範囲の中から、どの要素を垂直方向に掘り下げて話すか。つまり、具体例などを交えて、どれだけ詳しくポイントを解説するか。

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古垣講師

何に重きを置いて話すと良いのか、意識的に考えやすくなります。

当会でも、以上の伝え方を学び直せるトレーニングを展開しています。

参考文献
ダニエル・カーネマン(2012)ファスト&スロー(上).村上章子(訳)早川書房:東京.

Evans, J. St. B. T., & Stanovich, K. E. (2013). Dual-process theories of higher cognition: Advancing the debate. Perspectives on Psychological Sciences, 8, 223-241.

Stanovich, K. E., & West, R. F. (1998). Individual differences in rational thought. Journal of Experimental Psychology: General, 127, 161-188.

執筆者

【執筆者】古垣博康
【プロフィール】株式会社ワクリ代表。NHK(総合、Eテレ)の番組制作や番組サイト編集に携わりながら、話し方団体で講師を務める。現在は話し方講師、スピーチライター、認知行動療法&産業カウンセラー。
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