公開日: 2023年10月18日

よく、「情報を3つ並べると良い」といった話を聞くかもしれません。

ただ、使うべき状況を考えないと、話が印象に残らないことがあります。

このコラムでは、3,000人以上の皆様と伝え方のトレーニングをしてきた成果から、ポイントを絞る際の考え方について、解説します。

そもそも3つに絞るのはなぜ?

例えばアメリカでは、「Five Paragraph Essay」という教育が根付いています。

Five Paragraph Essayの例
序論(意見)
犬は人の家族の一員になれる
本論(根拠3つ)
1 犬はフレンドリーである
2 犬はルールを理解する
3 犬は人の感情を理解する
結論(意見)
だから、犬は人の家族の一員になれる

「序論1つ」+「本論3つ」+「結論1つ」の、5パラグラフで構成された、文章の書き方です。

このメリットは、根拠を3段構えにして、説得力を出せる点。

また、ポイントが多すぎずに読みやすいこと。

「Five Paragraph Essay」は、実際にアメリカの学校教育の中で根付いているものです。

一方で日本人は、あまり意識せずに3つのポイントを提示する人もいます。
その理由としては、

「3つだとまとまりが良い気がする」

「まとめるなら3つだと聞くので」

こんな風に感覚的な理由がわりと多い印象です。
(なかには、守破離や序破急など、3がまとまりが良いという理由を挙げる人もいます)

ただ、そもそも考えておきたいことがあります。

果たして、3つのポイントを挙げるのは、「話」として適切なのでしょうか。

耳から聞いた際に、人は3つのポイントを覚えられるのでしょうか。

認知心理学などで「逆向抑制」と表現されますが、新しい情報が頭に入ると、以前の情報を思い出す邪魔になります。

とくに話を受け取る際は、次々と新しい情報が頭に入ってきます

だから、3つのポイントを聞く中で、最初のポイントを忘れてしまう人は、少なくありません。

逆向抑制をどれほど受けるかは、話の難しさや、聞く人の一時記憶(ワーキングメモリ)の差も関わると考えられます。

もし、3つのポイントが記憶として残らなければ、聞き手の印象には…
「漠然とした、話の良悪」しか、聞き手には感じてもらえないこともありえます。
次の項目で、その問題の解決法を解説しています。

3つのポイントを効果的に伝える「手段」は?

3つのポイントを聴衆の印象に残すなら、話だけでなく「資料」や「スライド」など視覚面でも情報を提示すること。

すると、聞く人は頭の中に情報をとどめておかずに、視覚を頼りに3つのポイントを振り返ることができます。

あるいは、聞く人がメモを取れる状況なら、3つのポイントを記録しておくことが可能かもしれません。ただし、会議などでも、メモを書き取ろうと構えている人は、案外、少ないです。その場合、伝達の漏れは起きやすいかもしれません。

一方、1つにポイントを絞ることも、メリットとデメリットがあります。次項でその点を解説しています。

ポイント1つに絞るメリットとデメリット

1つに絞るメリットは、聞く人の印象に残りやすいことです。

これは様々な情報を共有するというより、自分の考えを1つ伝える場面に適しています。
印象的なスピーチなども、まさに1つのメッセージを伝えます。

デメリットとしては、ビジネスの戦略などで、多角的な検証を伝えるような場面では、情報性として薄いと判断されることがあります。

だから、1つにポイントを絞ることも、どのような話の場面(目的)で使うかが重要です。

まとめ:「話す目的」に合わせて、伝える形式を考える

大まかな目安ですが、以下のような考え方ができます。

3つのポイントを挙げるのが適した場面
・説明、報告(事実を伝えて共有する機会)
・多角的に検証したことを伝える場面(提案の根拠説明など)

できれば、資料やスライドを用意するのが推奨です。

なお、資料やスライドがある場合は、3つに留まらず、より多くのポイントを伝えることも可能です。
ただし、3つにまとめれば、情報が拡散的にならない面はあります。

1つのポイントに絞るのが適した場面
・スピーチなど、資料やスライドを用意しない話
・聞く人がメモを取らない状況で伝える場面
・会議などで、自分の考えを伝える場面

また、話の腕を磨くなら、実は「1つのポイントに絞る」技術は、基礎力として身につけておくと良い面があります。

次項で詳しく解説しています。

考えておきたいこと(長い話をするチカラを磨くには)

ときどき、読書感想文の字数稼ぎのように、「3つ挙げることで長い話を乗り切ろうとする」方がいらっしゃいます。

ただ本来は、「1つのポイント」に絞っても、5〜10分程度なら話せるものです。

3つのポイントに頼り続けると、1つのことをじっくり語れない習慣が身についてしまう人は、少なくありません。
(実際に、当会にもよくお越しになります)

ポイントを増やすと漠然とした抽象度で話す習慣が維持され、具体的で説得力のある話が苦手になってしまう人が、しばしばいらっしゃいます。

スピーチでは、複数のポイントを順列に語るケースもある

ちなみに、複数のポイントを扱う場合に、並列順列という観点もあります。

例えば式典における10分以上のスピーチや、講演などは、いくつかのポイントをうまく順列(順番)で繋げながら、語ることがあります。

その場合は、前提→本論→発展など、ポイントとなる話が順列で繋がるような関係性だと、一連の情報として頭に入りやすいです。

一方で「ポイントが3つあります」と言われると、3つのポイントを並列に覚えないと、話として成立しない印象になりがちです。

話の目的に合わせて、ポイントの数を絞る。さらに、印象に残すため、視覚に訴えるなどの手段、あるいは順列か並列などの伝え方を考えるのがオススメです。

執筆者

【執筆者】古垣博康
【プロフィール】株式会社ワクリ代表。NHK(総合、Eテレ)の番組制作や番組サイト編集に携わりながら、話し方団体で講師を務める。現在は話し方講師、スピーチライター、認知行動療法&産業カウンセラー。
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